個人再生と奨学金

奨学金の借金でも個人再生を利用できる?

奨学金と個人再生の概要

奨学金も個人再生の対象となる再生債権に含まれます。奨学金でも個人再生は可能です。ただし奨学金単体で個人再生をするというのは認可されない可能性があります。

 

奨学金は利息が0%〜3%となります。そして返済額は総額によっても違うのですが、だいたい「毎月1万円〜3万円」となります。もし返済が困難になった場合は猶予も認められており、猶予届けを出せばその1年間は利息は完全に停止し、返済の必要もなくなります。この猶予は最大10年間可能です。

 

このような借金となるので、奨学金単体で手続きすると債権者に反対され不認可となる可能性があります。個人再生では過半数の債権者(お金を貸した側)があれば不認可となります。

 

あとは連帯保証人の問題もあります。奨学金では申し込み時に「機関保証」か「人的保証」どちらか選択したかと思います。個人再生をすると支払えなかった分の額はすべて連帯保証人に一括請求がいきます。機関保証を選んでいるのなら保証会社が肩代わりするので問題にはなりません。

 

もし人的保証を選んでおり、連帯保証人を親族に設定している場合、払えなかった分の奨学金はすべて親族に移動するだけなので意味がありません。親族に多大な迷惑をかけてしまいます。奨学金をどちらに設定しているのか確認してみるとよいです。

 

人的保証に設定している場合の債務整理方法は、連帯保証人と一緒に自己破産をするという手続きになります。連帯保証人と同時に自己破産をすれば借金は全額免除となります。

 

もし機関保証に設定している場合ですが、奨学金単体では手続きは困難ですが、複数の借金をしている場合は認可される可能性があります。たとえば奨学金の他にクレジットカードの借金や消費者金融の借金があり、生活が苦しく到底返済できない場合は個人再生をして借金の1/5のカットが可能です。

 

ただし前述した通り個人再生では債権者の過半数が反対したら不認可です。もしくは単独で債権額(借金総額)が過半数の債権者がいる場合、その債権者が反対したら認可されません。たとえば奨学金が400万円あり、その他200万円借金しており、合計で600万円の借金を個人再生する場合、日本学生支援機構が反対すれば、認可されません。

 

信用保証協会や政府系金融機関やおまとめローン系の一部の会社は個人再生に反対する常連とされていますが、日本学生支援機構はそうではありません。こういった債務整理のデータは債務整理の弁護士事務所に集まっているので、やはり一度相談して個人再生が最適かどうか見積りをだしてもらう必要があります。

 

奨学金の返済方法については、ローン支払い中のマイホームがある方は奨学金は猶予を出して利息と返済を停止させて、他の借金は任意整理して返済していくという方法がよいと思います。奨学金の返済方法と猶予については以下の参考にしてみてください。

 

私が約390万の奨学金を3年で完済した方法【返済できない方へ】

 

手元に土地や家など財産がなく、明らかに借金総額に対して毎月の手取りが少なく支払い不能状態に陥っている方は自己破産をして借金をすべて0に戻すという方法になると思います。この場合連帯保証人の問題も絡むので、必ず弁護士や司法書士と相談して適切な対処をしてもらう必要があります。

 

 

 

奨学金を個人再生した場合のデメリット

他の借金を個人再生した場合と同様に、奨学金を個人再生した場合にも、デメリットがあります。

 

そのうち最大のデメリットは、個人再生で債務者本人の債務が減額された分だけ、保証人に請求がいくことです。

 

今の日本でもっとも利用者の多い、日本学生支援機構の奨学金の場合、借りるためには連帯保証人と保証人、2人の保証人が必要になります。

 

なので、親以外にも、親戚か誰かが保証人になっているケースが多いです。

 

債務者が個人再生すると、個人再生で返すお金を除いた分の借金が、親や親戚に請求されることになりますので、個人再生をする前に、これらの人ときっちり話し合っておくのがよいでしょう。

 

連帯保証人が身内の場合、連帯保証人も同様に債務整理(個人再生や自己破産)をするという方法が一般的です。一緒に債務整理することで弁護士費用も安くできます。
また、(だいぶ昔に借りた人は別ですが)少し前に奨学金を借りた人が個人再生をすると、その情報が信用情報機関に載ります。つまり、金融ブラックになってしまうので、ブラックリストに載っている間、クレジットカードを作ったり、新しくお金を借りたりするのが難しくなります。

 

昔と違い、今の奨学金はいろいろと厳しくなっているので、個人再生や自己破産などをして債務整理すると、一般の金融業者から借りたお金を債務整理するのと、ほとんど変わらない扱いを受けます。

 

これは日本学生支援機構から奨学金を借りた場合です。地方自治体から借りた奨学金を個人再生で減額しても、ここまで厳しい扱いは受けません

 

奨学金だから他の金融業者と違い、債務整理をしても金融ブラックにはならないというわけではないので、奨学金を個人再生する場合、その点に気をつけておきましょう。

 

親や親族が連帯保証人の場合

奨学金を借りる時に「機関保証」か「人的保証」かどちらか選んだと思いますが、「人的保証」を選んで、親や親せきを連帯保証人に設定した場合、個人再生のメリットを享受できません。

 

個人再生をすると借金は1/5に減額されますが、残りの4/5の借金はすべて連帯保証人に督促がいきます。連帯保証人が身内のケースでは、借金は身内に移動しただけですから、全く意味がありません。

 

このケースでの解決方法は以下の通りです。

 

1.本人と連帯保証人が二人で自己破産をする
→自己破産とは借金をすべて帳消しにする手続きです。本人と連帯保証人二人同時に自己破産をすると借金は完全になくなります。

 

2.本人は任整理をし、それを連帯保証人と協力して返済する
本人は任意整理をして、借金を減額します。そして減らした借金を連帯保証人(親)の援助を受けながら返済していきます。

 

親族に連帯保証人をつけているケースは本人だけの問題ではありません。必ず弁護士や司法書士などの専門家と相談し、適切な債務整理をしてもらうことです。

 

人的保証か機関保証かどこで確認を取ればよい?

奨学金相談センターに電話して奨学生番号を伝えれば、自分が人的保証に設定しているか機関保証に設定しているかわかります。またはスカラシップPSの「詳細情報」の「保証情報」の欄をみれば確認ができます。