個人再生と官報

個人再生をして官報の掲載が周囲に知られる5つのケースについて

結論から言うと、個人再生をすると官報にあなたの名前が掲載されます。官報に掲載されると一生残り続けます。

 

ただし、官報は一般の方が大変アクセスしにくいものですし、官報に自分の名前が掲載されたからといって、生活面で支障が起きることはありません。では具体的に個人再生と官報について解説していきます。周囲に知られる5つのケースについても解説します。

 

個人再生手続とは

複数の金融機関等から借り入れを行ってしまい、不本意にも支払不能状態になった場合、そのままでは返済をすることができませんので、弁護士等に依頼をして、債務整理を行う必要があります。

 

債務整理の種類にはいくつかありますが、その中でも、債務者の経済的再生を主たる目的とした手続の一つとして、個人再生手続があります。個人再生手続を利用すれば、裁判所のお墨付きを得て債務を減額した上で、減額した債務を3年ないし5年をかけて分割払いをすることによって、住宅などの財産を守りながら経済的再生を図ることができます。

 

このように、個人再生手続は、そのメリット・デメリットを正確に理解して上手に使えば、多額の債務に苦しんでいる債務者にとっては極めて有利な手続です。

 

個人再生手続きと官報の関係

個人再生手続は、弁護士が代理して行う場合がほとんどですが、一般の方が疑問に思うことの一つに、「個人再生をした場合、官報に掲載されるのか?また、仮に掲載されるのであれば、その掲載期間はどれくらいなのか?」というトピックがあります。
そこで、官報についての一般的な知識とともに、個人再生と官報との関係についてまとめます。

 

個人再生と官報という媒体について

官報というのは、一般の方々にはあまり馴染みがないものではありますが、簡単に言えば、日本国政府が発行する新聞のようなものです。

 

具体的にどのような情報が掲載されているかというと、、国家公務員の人事についての情報であったり、どのような法律が公布されたかについての情報が記載されています。また、外国人が帰化申請をして日本国籍を取得した場合は、その情報が官報に掲載されることになります。さらに、破産手続を行った場合も、官報に名前が載ることになります。

 

ただし、民間の新聞などとは異なり、官報に直接アクセスするような国民はほとんどいないのが現状です。強いて言えば、弁護士や司法書士、行政書士などの法律の専門家が業務上利用することがある程度のものです。

 

個人再生に関する公告も、官報に記載されることになります。つまり、上述の問いに答えるならば、「個人再生をした場合は、官報に掲載されます」となります。官報公告は、個人再生手続を進めるにあたっては避けては通れないことですので、個人再生手続を利用しようとすれば、自らの情報が官報に掲載されることを承知しておく必要があります(何らかの事情を述べて拒否することはできません)。

 

 

 

官報掲載のタイミング

個人再生手続をすすめるにあたって、再生債務者の情報が官報に掲載されるのは、時系列順に並べると、三つの段階があります。
一つ目は、個人再生手続の開始決定がされたときです。開始決定とは、その言葉通り、個人再生手続が始まることを意味しますので、その旨が官報に掲載されます。

 

次に、再生計画案が提出され書面決議の決定がされた後に、再度官報に掲載されます(債権者らに意見があるかどうかを確認する趣旨です)。

 

最後に、再生計画案認可決定が出された後に、その旨の情報が官報に掲載されます。その後、一定の時間の経過とともに再生計画が確定し、実際の返済がスタートすることになります。

 

官報の掲載期間

最後に、官報の掲載期間についてですが、結論から言えば、官報掲載については、特定の期間が定まっているわけではありませんので、一度官報に掲載された情報は、半永久的に保存されることになります。

 

しかしながら、官報のバックナンバーを詳細に確認するようなことは原則としませんし、仮にそのようなことを誰かが悪意を持ってしたとしても、官報に掲載されている情報は膨大ですから、特定の個人にすぐ何らかの不利益が生じるわけではありません。

 

したがって、たしかに官報に掲載されることは個人再生手続のデメリットのような側面もありますが、個人再生手続で得られるメリットと比較した場合には、まったく些細な問題に過ぎません。大事なことは、官報に掲載されるからといって、必要以上に神経質にならないことでしょう。

 

官報で掲載された情報はどこでみることができるのか?

個人再生での官報掲載が周囲に知られてしまう可能性があるとしたら以下の5つのケースとなります。

 

個人再生をして官報の掲載が周囲に知られる5つのケース
  • 官報を毎日販売所で購読して沢山の情報の中から特定の人物を発見したケース
  • インターネットの無料官報検索(直近30日まで)で氏名検索をしたケース
  • 官報の有料検索サービスに登録して、有料で指名検索したケース
  • 各図書などでの官報保存期間は疎ら
  • 国立国会図書館に行けばすべての官報情報を閲覧可能

 

官報は都道府県それぞれ1か所〜3か所ほど官報販売所があります。そこで1部130円(税別)で購入ができます。ただし毎日の裁判所の判決結果が載っており、その中から日にちも一致する特定の人物を特定するのは困難です。そもそも新聞を毎日購読している人はいますが官報を購読している方は稀です。そもそも官報自体マイナーですし現実的にここから知られることはありません。

 

インターネット官報では直近30日まででしたら無料で氏名検索ができます。ただし予め告知もしていない状態でピンポイントでここに知人があなたの名前を入力するとは思えません。過去を遡って官報検索する場合は月額2千円弱かかる有料サービスに入る必要があります。ただしこれも手続きが非常に複雑で一般の方が登録するものではありません。

 

各図書館にいけば掲載期間は疎らですが、官報を読むことができます。用意してもらう場合は、図書館で決められている日程のものを出してもらい、渡されたものを見ることになります。検索はできませんのでそこから特定の人物を割り出すのは困難です。大きな公立図書館で、官報検索すれば、個人再生をしているか見れます。官報検索を依頼し、氏名と個人再生で検察すると検索可能です。

 

上記が官報から個人再生をしたことが周囲に知られてしまう5つの可能性ですが、殆どのケースで知られることはないことがわかります。そもそも個人再生と官報という言葉自体マイナーですし、その検索方法なんて深く調べていかないとわかりません。多忙な社会人がそのようなことをするとは考えにくいです。
一般の方にはなじみのない情報となります。

・官報の販売店一覧

https://www.gov-book.or.jp/portal/shop/

 

・インターネット版官報(過去をさかのぼって検索するには有料サービスへの申し込みが必要)
http://kanpou.npb.go.jp/

 

・民間運営の官報サイト(直近30日までは検索可能)
http://kanpoo.jp/

 

・国立国会図書館に行って官報を調べる
https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-510.php