個人再生が失敗する原因

個人再生に失敗する5つの原因と成功率

はじめに

自己破産に比べると制限が少なくて便利な債務整理法、それが個人再生です。

 

この個人再生、上手く使えば借金を大幅に圧縮することが出来る優れものですが、上手く使うのに失敗すると、借金を減らすことができなくなります。

 

では、なぜ上手く使うことが出来ないのか、なぜ再生に失敗してしまうのか、その原因と、それに対する対策を、これからご説明します。

 

個人再生をするには以下5のつの条件を満たさないといけません。

 

・借金などの総額(住宅ローンを除く)が5000万円以下であること
・将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること
・弁護士に依頼した後の不正行為
・債権者の半数以上が再生計画に同意すること
・債務者が再生計画を実行できず途中で計画が破綻しないこと

 

債務者(=お金を借りた側)
債権者(=お金を貸した側)

 

借金の総額(住宅ローンを除く)が5000万円以下であること

個人再生は、住宅ローンを除いた、借金総額が5000万円以下の方に限ります。
もし借金総額が5000万円以上(住宅ローンを除く)場合は個人再生できませんので、自己破産など他の債務整理での借金減額が必要となります。

 

将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること

個人再生をするには継続的な収入がある必要があります(民再231条1項、174条2項2号)。個人再生で手続きが認可された場合、1/5に減額された借金を3年〜5年かけて分割返済していくことになります。

 

自己破産と違って「減額後に数年かけて返済する」必要があるため、裁判官は債務者に「継続した収入があるかどうか」厳しくチェックします。個人再生では申立書に過去2年分の所得証明書や 源泉徴収票を提出します。その提出書類で「継続した収入があるかどうか」判断されます。

 

正社員の方でしたら殆どのケースで手続き可能です。アルバイトや派遣社員やパートの方でも、継続した収入がある場合は手続き可能です。直近過去2年間で仕事に就いたり辞めたりを繰り返しているなど、収入が不安定な場合は個人再生をすることができません。

 

個人再生を利用する方の多くは「住宅ローン特則(支払い中の住宅ローンは残したまま個人再生する)を利用すると思いますが、この場合、住宅ローンの借金減額はされませんので、「住宅ローンの支払いはそのまま毎月行う」+「個人再生で減額した住宅ローン以外の借金を毎月返済していく」ということが必要になります。そういった支払いができるのかどうかを見られることになります。

 

6カ月間(6回分)の履行テストに合格する

個人再生の手続きは半年間〜7カ月間ありますが、そのうちの6カ月間は履行テストが行われます(地域によってこの履行テストの期間は多少異なります)。

 

この履行テストとは個人再生の認可後の返済計画がきちんと履行されるのかどうか確かめるためのテストです。個人再生を弁護士に依頼すると受任通知が送られこれまでの借金返済は完全にストップします。個人再生手続き中の半年間でのテストとなります。

 

たとえば毎月の返済金額を3万円に設定している場合、個人再生が始まる前に、毎月3万円を裁判所が用意した口座振りこみます。この3万円は弁護士費用に充てられたり、個人再生委員が付いている場合はその費用に充てられます。払いすぎている場合は後で戻ってきます。これを半年間続けることができれば履行テストは合格となります。

 

借金をしている方の中には浪費癖がついていたりギャンブル依存症になっている方がいます。もし履行テストの段階で浪費癖が治らず、毎月の振込みができなかった場合は不認可になる可能性が高いです。

 

弁護士に依頼した後の不正行為

個人再生の場合、いったん裁判所から再生計画の認可が下りたにもかかわらず、後で取り消しになるケースがあります。

 

なぜ取り消しが起こるのか、その理由は様々ですが、特に多いのは、申し立て時に不正をしていたのがばれたケースです。申し立て時に不正をしていたというのは、要するに財産を隠匿していたということです。

 

本当は資産が500万あるにもかかわらず、それを300万と申告したり、再生計画を立てる段階でインチキをしていたことがばれると、当然、その再生計画は取り消しになります。

 

なので、これを避ける方法はひとつです。それは、再生計画を作るときに、裁判所(弁護士)に嘘をつかないことです。特に財産については、きっちりと申告しなくてはいけません。不正はしない、これを守ればそうそう認可取り消しになることはないでしょう。

 

借金について小さな嘘をついていると、あとから整合性を取るのに大変な思いをしますし、そういったことをしても最終的に知られてしまいます。弁護士はそういったお金の流れを完璧に把握しますので後からそういった嘘はバレてしまいます。手続き中に新しく借金をしてしまったりギャンブルで浪費してしまった場合それらもすべて弁護士に知られることになります。通帳や家計簿を提出する必要があるので。

 

そういったことをすると最悪のケースでは弁護士に辞任されることもあります。信頼関係で成り立っていることですので、最初から正直にすべてを話すことと、手続き中の行動にも気を付ける必要があります。

 

やはり借金をしたということは後ろめたさがあり、どうしてもそれを誤魔化すために小さな嘘をついてしまいがちですが、そうすると後々計算が合わなくなり手続きに支障が出ることがあるのです。

 

 

債権者の半数以上が再生計画に同意する

個人再生のルールとして、債権者の半数以上が再生計画に同意しない場合、もしくは過半数の債権を握る債権者が再生計画に同意しない場合、個人再生は認可されません。

 

銀行・消費者金融・信販会社などの民間業者はほとんどケースで反対することはありません。反対して自己破産されたら、結局全く借金を回収できませんから、それなら個人再生で1/5でも借金を回収したいと考える業者が大多数です。

 

ただしたとえば借金総額500万円なのに収入が800万円あるなど、あきらかに返済計画に問題がある場合や財産隠しなどの不正行為がある場合、詐欺的な借入をしている場合は反対してくる業者もいます。年度によって、業者によっても違ってきます。たとえば〇社は反対してきやすいなど傾向もあります。

 

もし反対された場合ですが、そのときは「小規模個人再生」から「給与所得者等再生」に切り替えて手続きします。小規模個人再生は借金の1/5を減額できますが、給与所得者等再生では可処分所得の2年分を支払う必要があるため、小規模個人再生よりも減額される額が少なくなる可能性があります。

可処分所得 = 収入 − (税金 + 社会保険料 + 最低生活費)

個人再生のデータは債務整理を重点業務としている事務所に集まっています。そういった債務整理の数をこなしている事務所で相談すると個人再生は成功しやすくなります。

 

債務者が再生計画を実行できず途中で計画が破綻しないこと

どんなに立派な再生計画が立てられても、所詮は計画に過ぎません。肝心の債務者がその再生計画を履行できない場合、個人再生は失敗に終わります。個人再生で認可されても、その後減額された借金を3年〜5年かけて返済していきます。完済してはじめて個人再生は成功したと言えます。

 

このような失敗が起こってしまうケースの大半は、返済するために必要な費用を、つい他の支払いや買い物に当ててしまうことで起こります。なので、給料などの定期収入が入った時点で、まず最優先で返済のためのお金を確保しておきましょう。

 

そうすることで、この手の失敗を防ぐことが出来ます。

 

他にも、毎月の返済額が大きすぎるために計画が破綻するケースがあります。そうならないためにも、計画の段階で、ある程度返済能力に余裕をもたせておきましょう。

 

多いのが、裁判所から個人再生の許可が下りて、借金を減らせたものの、返済計画通りに返済できず、また借金まみれになってしまうことです。そういった場合、最終的に自己破産に移行するのですが、弁護士費用がまたかかってしまいます。

 

返済途中で返せなくなったら個人再生の返済計画は中止になる?

病気やリストラにあったなどやむを得ない理由で毎月の返済が困難になった場合は、2年以内での返済計画の変更は可能です。ただしこれは「やむを得ない理由があった時」のみ適用されます。
もしすでに計画の3/4を返済した場合、免責になるケースもあります。(残り1/4の借金は未履行のまま支払いを免れる)
返済困難な状況になったらすぐに担当の弁護士に相談することが大事です。

 

個人再生の5つの失敗まとめ

個人再生をする上で重要なポイントは「将来継続的な収入があり、借金減額後、返済計画通りに毎月きちんと支払いができるのかどうか」です。ここを裁判官は厳しくチェックしています。

 

この返済能力のありなしは弁護士に相談すれば、きちんとした返答が貰えます。個人再生は弁護士や司法書士に依頼しないとできませんから、まずは個人再生が適用できるかどうか、相談してみるとよいでしょう。

 

個人再生で債権者が行うことは少ないです。とにかく弁護士に嘘はつかずありのままの借金情報を伝えることです。あとは弁護士が代理人となって全て活動してくれます。こちらはその指示通り書類を集めたり、指定された銀行口座に毎月振込み(履行テスト)したりします。

 

弁護士が状況を判断してくれ、個人再生が失敗せずに実行できそうなら、手続きをしてくれます。

 

個人再生の成功率は?

成功率は明確に何パーセントというデータはありません。個人再生を依頼する場合は弁護士に頼むことになりますが、弁護士にありのままの借金状況を伝えると、まず個人再生手続きが可能かどうか判断してくれます。手続きを行い、最後まで支払い終えることができると判断されれば手続きを行います。

 

たとえば任意整理の場合はもしリストラや不景気による借金の大幅カット、病気にかかって収入が途絶えた場合、任意整理では途中で断念せざるをえません。このため任意整理の成功率は7割程度だと言われています。返済計画を立てても、10人中3人は最後まで返済し終えることができないのです。

 

個人再生の場合はリストラや病気などやむを得ない事情で返済ができなくなった場合は2年を超えない範囲で、支払い期間の延長ができます。救済処置が用意されているのです。

 

個人再生は裁判所を介した手続きなため、こういった救済処置が明確にあります。

 

借金の減額の額も大幅カットが可能ですし、やむを得ない場合は支払い期間の延長も可能です。ですから成功率というのは任意整理に比べて高くなります。

 

個人再生に失敗した場合、残りの債務整理方法は自己破産しかない?

1.個人再生に失敗した場合?

前述した通り「小規模個人再生」で手続きを行い債権者の過半数の反対にあって不認可となった場合は、「小規模個人再生」から「給与所得者等再生」に切り替えて手続きします。この場合債権者の意見は聞かなくてもよいことになっているので、認可される可能性は高いです。ただし減額額は2年分の可処分所得ですので支払う額は高くなる可能性があります。

 

残りの方法としては自己破産と任意整理があります。

 

2.自己破産以外の選択肢もある

結論から言えば、個人再生に失敗した場合であっても、いくつかの取りうる選択肢があります。個人再生の失敗イコール自己破産という図式は成立せず、自己破産以外の選択肢を取れないわけではありません。

 

3.任意整理を試みることができる

まず、あらためて債権者との間で裁判所を介さずに交渉をして和解契約を締結すること、つまり、いわゆる任意整理の方法を取ることが考えられます。

 

任意整理という手段は、裁判所を介さずに、代理人弁護士と債権者が交渉をすることを意味するに過ぎないので、仮にそれ以前に個人再生が失敗に終わったという事情があったとしても、交渉すること自体には何らの問題はありません。

 

ただし、一度個人再生に失敗している場合は、債権者の態度は硬直的な状態にあることが予想されますので、特段の事情、たとえば、弁済金額をかなり上乗せできるような事情がない限り、和解契約を締結して任意整理を成功させることは至難の業でしょう。

 

4.もう一度個人再生にチャレンジできる

次に、もう一度個人再生の手続にチャレンジするというケースも考えられます。個人再生は一度しかできないという性質のものではありませんので、資料を再度揃えて、裁判所に申し立てをすることは可能です。

 

ただし、前回の失敗の原因が債権者の反対の場合は、今回も特に事情に変化がなければ同じように反対される可能性は極めて高く、特段の事情、たとえば弁済額を大幅に増やすなどの再生計画案を提出しない限りは、なかなか成功には至らないでしょう。

 

5.現実的な問題として

このように、個人再生に失敗した場合であっても、必ず自己破産するしかないというわけではありません。ただし、現実的には、上記2つの方法の成功確率はかなり低いことが予想されますので、自己破産という選択肢を取らざるを得なくなる可能性が最も高いといえます。

 

自己破産を避けるためには、債権者に対しての返済資金をどうにかして調達するなど、特別な努力が必要になってくるでしょう。その努力に成功すれば、自己破産を回避して、任意整理又は再度の個人再生によって借金問題を解決することもできるのです。