【奨学金を返済できない】390万円の奨学金を3年間で返済した方法!
今回は奨学金を返済できない人向けに、奨学金の賢い返済方法と返済できない時の対処方法について解説していきたいと思います。猶予制度や自己破産を含めた奨学金に関するコンテンツとなります。
そもそも奨学金制度とは?
日本学生支援機構(JASSO)が扱っている学生向けの融資の制度です。奨学金には「第一種(無利息)」と「第二種(利息が付くタイプ)」の2種類があります。
第一種は評定平均値が5段階中3.5以上の方で予約採用で審査に通った方が受けられる奨学金で無利息で借りることができます。
返済方法は前年の所得によって毎月の返済額が決まる「所得連動返還方式」と毎月の返済額が一定である「定額返還方式」があります。第一種は前年度の所得によって返済額が決められますし、利息も発生しないのでよほどのことがない限り返済には困らないと思います。
問題は「第二種(利息が付くタイプ)」の奨学金です。私が借りていたのも第二種です。
これは第一種以外の方が借りる奨学金で在学中は無利息ですが、卒業後から利息が発生します。利息は年利3%を上限とする利息です。
私の場合は利息を固定しており、年利は1.08%でした。毎月分割払いで15年〜20年かけて返済していきます。私立大学を4年間通って、奨学金の総額は約390万円、これを年利約1%で240回払い(20年)でした。月々の返済は17,881円でした。
私が390万円の奨学金を返済した方法
今回は私は実際に390万円の奨学金を3年間で返済した方法について解説していきたいと思います。正直390万円もの借金はかなり精神的に重たかったです。仕事をしていても友人と遊んでいてもふっと心の中で「いま400万円近い借金があるんだ」という感覚に襲われ、それが嫌でできるだけ早く完済することを決意し、実行しました。
人によっては精神的に強く奨学金を背負っていてもメンタルが平気な人もいると思いますが、それでもやはり奨学金でも借金は借金ですので、それを背負っているというのは精神衛生上よくありません。
最初の2年間はまともに就職ができなかったので、その中で毎月1万7千円を返済していくのが大変でした。途中で猶予の届けを出しました。私が行った方法は以下の通りです。
・スカラネットPSに登録する
・返還期限猶予制度を利用する
・繰り上げ返済を行う
スカラネットPSに登録する
まずは現在の奨学金の状態(年利はいくらか、毎月の返済額はいくらか、トータルの返済回数はいくらか、機関保障か人的保証かなど)を把握することからです。
案外自分がどの程度借金があるのか把握していない人は多いです。「スカラネットPS」と呼ばれる返還情報提供サービスを利用すればそれらすべての情報をいつでもアクセスして確認することができます。
それだけでなく、このスカラネットPSから住所の変更や繰り上げ返済などすべての手続きを行うことができるので便利です。
スカラネットPSを登録するにはメールアドレス(フリーメールでOK)と奨学生番号を入力する必要があります。奨学生番号がわからなくなった人は奨学金返還相談センターで氏名と住所と生年月日を伝えれば教えてもらえます。
奨学金返還相談センター電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル)
海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは⇒03‐6743‐6100
月曜〜金曜:8時30分〜20時00分(土日祝日・年末年始を除く)
たとえば以下のように、奨学金に関する情報がすべてわかるようになります。奨学金を返済する上で「スカラネットPS」は必須です。利用は当然無料です
このスカラシップPSで今の奨学金の状態がすべてわかるので、URLをブックマークして、ログイン情報をメモ帳などに保存し、簡単にログインできるようにしておくとよいです。人はわからないことに対してはどんどん不安が募っていくと思いますが、借金状態がハッキリわかればそういった不安は解消されます。スカラネットPSの登録方法と利用方法については以下をご覧ください。
返還期限猶予制度を利用する
病気や失業、低所得で返済が困難な時は「返還期限猶予制度(一般猶予)」を利用しましょう。猶予を申請して通れば、1年間返済をしなくてもよくなります(返還期間が延長される)。
この申請をした1年間はリレー口座(引き落とし口座)からお金が引き落としされません。また申請期間は利息が発生することもありません。もし返済ができなくなったらすぐに猶予を申請するようにします。一般猶予は最大10年(120か月)延長ができます。
年間の収入金額が300万円以下(自営業は200万円以下)の方でしたら経済困難を理由に一般猶予を受けることができます。
一般猶予以外にも、収入が少ないときは「減額返還制度」を利用できます。月々の返済額を1/2または1/3に減らすことができます。適用期間は12か月で最長15年(180か月)まで延長可能です。
これらの制度を使うことで、一時的に返済額を少なくできます。
※あくまで返済期間が延長されるだけで返済総額が減るわけではありません。
猶予の申請の方法は以下の3つの書類を郵送するだけです。わからない場合は奨学金返還相談センター(月曜〜金曜 8時30分〜20時00分)に相談すればすべて対応してくれます。
「奨学金返還期限猶予願」
「チェックシート」
「所得証明書」
私は卒業してから2年間はアルバイトでしたので、すぐに相談センターへナビダイヤルで相談して猶予を出しました。奨学金返還期限猶予願に生活の状況を書き(収入はいくらで家賃はいくらで光熱費と食費はいくらで、今後の就職活動について)直近3カ月のアルバイトの給料明細とハローワークの証明書?を送付したら1か月ほどで返送があり、一般猶予が決定しました。
そのあと2年間ほど一般猶予をして、利息が発生しない状態を作りました。
「奨学金減額返還願」や「奨学金返還期限猶予願」の願出用紙はスカラネットPSの「各種願届」から作成することができます。
返還期間の猶予の利用条件と申請方法は以下でまとめています。
返還期間猶予の申請方法について
繰り上げ返済を行う
第一種奨学金は無利息ですので、無理に繰り上げ返済をする必要はありません。もし一時的に返済ができない状態になったら一般猶予や減額制度を使いながら返済期間を延長させて返済していけばよいです。
第二種奨学金は利息がつきます。たとえば私の場合、約390万円の奨学金で年利が約1%ですので、年間におよそ4万円の利息が発生することになります。
奨学金は1か月の返済が1万円〜2万円と少額ですのでなかなか元本が減りません。元本が大きい期間が長いと、利息が多くかかってしまいます。
約390万円の元本を20年間で返済した場合、返済総額は約420万円です。利息が30万円もトータルでかかってしまうのです。ですから元本が大きい時はできるだけお金を貯めて、繰り上げ返済をした方がよいです。
年収が300万円以下でしたら一般猶予を利用できます(自営業の場合は200万円以下)。一般猶予を受けている期間は利息が停止しますので、その間にお金をこっそり貯めて、返済がはじまったら繰り上げて返済するのも一つの手です。
私は2年間猶予をし、200万円を貯めて、その200万円を繰り上げ返済しました。そうすることで月々の利息は約2000円抑えられました。元金が大きい時はしっかりと貯金をして繰り上げていった方が得です。
ちなみに繰り上げ返済はスカラネットPSでカンタンに行えます。「各種願届・繰り上げ」から繰り上げる金額を入力すれば次の返済日にリレー口座(引き落とし口座)から引き落とされます。
たとえば30万円を繰り上げたい場合は、「300,000円」と入力します。あとはリレー口座にその金額を入れておけば次の返済日に引き落とされ、残高が減ります。
お金が貯まっていたら数十万円でもいいのでスカラネットPSからこまめに繰り上げていけばよいでしょう。在学中の方は在学中は利息は発生しないのでその間にお金を貯めておいて、卒業後に繰り上げて返済するのもよいです。
奨学金の賢い繰り上げ返済の方法については以下をご覧ください。
どのようにして3年間で約390万円の奨学金を完済したのか?
私が意識したことは「入ってくるお金を増やして出ていくお金を減らす」というシンプルなことです。
入ってくるお金を増やすために土日など仕事が入ってない日は日雇いバイトをしました。地元で日雇いの派遣会社に登録して銀行口座を登録しておくと、派遣会社から仕事の紹介の電話がかかってきます。予め土日の仕事をしたいと伝えておくと土日祝日の日雇いの仕事を紹介してくれます。仕事内容と場所を教えてもらい、あとは時間通りに現地にいけば、その場で日雇いの仕事ができます。イベントスタッフや撤去や引っ越しの手伝いが多かったですね。ダブルワークをするとお金を使う時間もなくなるので自然とお金が増えていきました。
出て行くお金を減らすですがまずは家賃の安い賃貸に住むようにしました。奨学金返済の時は3万円以下の賃貸に住んでいました。防音はしっかりしていたので特に問題は起きませんでした。3万円以下の賃貸でも駐車場のない独身の方が集まるような総戸数が80戸以上あるようなマンションですと狭いですが防音はしっかりとしています。小さな節約は全くせず食費も考えなかったのですが、大きな買い物の時だけは「これは本当に必要なものか」考えて買うようにしました。
基本は「いまあるもので生活し不足した時だけ買う」ということをしました。ですから買い物も殆どしなかったですし、遊びに出るのもたまに飲みにいくくらいです。基本は家にあるものだけでまかない、それが破れたり壊れたりして使えなくなった時だけ買い物をしていました。
そのような生活をしているとイヤでもお金は貯まっていきます。お金がたまったらスカラシップPSから繰り上げ返済をこまめにしていきました。スカラシップPSの借金残高が「390万円→190万円→145万円→90万円」とどんどん減っていくのがとても充実でした。見事完済した時はやっと終わったという解放感と充実感と喜びで本当にうれしかったです。
上記以外の返済のコツ
・もし一時的に返済ができなくなったら
もし奨学金の返済が一時的にできなくなったらすぐに奨学金相談センターに電話で相談をし、返還期限猶予制度を利用しましょう。
もし無断で奨学金を滞納した場合、3か月の滞納で個人信用情報に登録されます。個人信用情報とはいわゆるブラックリストと呼ばれるもので、これは貸金業者がお金を顧客に貸す時に、顧客の信用を調査するため照合されるデータです。
ブラックリスト入りすると、その後5年間は審査にひっかかるため、新しい借金をすることができません。具体的には、登録されたのち5年間はクレジットカードを作れなかったり、消費者金融を利用できなかったり車や住宅ローンを利用できなくなります。
奨学金を借りて返済している方は若い方が多いでしょうから、20代や30代でブラックリストに載ってしまうと、住宅ローンがリスト掲載されてから5年間は組めません。
住宅ローンが組めないとなるともし結婚した時、結婚生活にも関わってきますから、3ヵ月以上滞納してブラックリストに載るリストは大きすぎます。
消費者金融はまだしも、車のローンや住宅ローン、カードを持てないとなると生活に支障が出る場合があります。一般猶予の届けを出すと、返済期間は延長され、ブラックリストに登録されません。
一般猶予の届けの方法ですが、JASSOのHPから(もしくはスカラネットPSから)「奨学金返還期限猶予願」をダウンロードし記入します。あとは直近3カ月の給与明細もしくは所得証明書を同封し、チェックシートと一緒に日本学生支援機構(JASSO)まで郵送します。
・債務整理(自己破産)をする(どうしようもない時に)
債務整理には任意整理と自己破産があります。任意整理は債権者と弁護士が交渉をして借金の減額をして分割返済していく手続きです。自己破産は債務者の財産をすべて債権者に差し出す代わりに借金を帳消し(ゼロ)にする手続きです。
結論からいうと奨学金単体での債務整理はできません。前述した通り利息は低く返済期間も長く設定されており、猶予の申請も可能だからです。
ですが、もし奨学金以外にも借金(消費者金融やカードやカードローン等)をしている場合は、奨学金以外の借金を債務整理できます。もしくは本当に支払い不能の場合は奨学金と他の借金まとめて自己破産できる場合があります。
もし借金返済に困っており、今後も返済していけそうにない場合は自己破産で免責がおりる可能性があります。自己破産は奨学金適用内です。自己破産をすることで奨学金を含むすべての借金はゼロに戻ります。
自己破産をするには「支払い不能状態」であること条件です。通常ですと「いまある借金が3年以内に返済できるかどうか」が目安となるのですが、奨学金の場合は少し異なります。
奨学金は月々の返済が少額ですし、利息も3%以下です。猶予や減額返済の手続きもできます。そういった性質があるため、他の借金よりも厳しい審査になります。
奨学金単体で自己破産できるかどうかは判断が難しいです。もし奨学金以外にもサラ金やローンなど借金がある場合は、それを含めて「返済不能状態」か判断されるので自己破産できる可能性が高まります。
奨学金を自己破産したら、返済できなかった残金はすべて連帯保証人に支払いがいくことになります。奨学金では保証制度は「機関保証(保証会社が肩代わりする)」か「人的保証(連帯保証人が肩代わりする)」のどちらかなります。
奨学金の申し込みをした時にどちらか選んだかと思います。もし機関保証を選んでいる場合、保証会社が支払いますので特に問題は起きません。
人的保証で連帯保証人を親に設定している場合、自己破産をすると支払えなかった奨学金の請求が親にいきます。このケースでは、他の債務整理をするか連帯保証人と一緒に自己破産をするという方法になります。
スカラネットPSの「詳細情報」の「保証情報」の欄をみれば、人的保証か機関保証か確認ができます。
連帯保証人と一緒に自己破産をするとなると大きな問題となります。現実的に親と一緒に自己破産というのは難しいので、奨学金については猶予届けを出して一時的に返済を停止させ、他に借金がある場合はその借金は任意整理をして減額し返済していくことになると思います。
奨学金の自己破産については弁護士としっかりと相談して手続きを進めていく必要があります。奨学金の自己破産については詳しくは以下をご覧ください。
奨学金を自己破産するとどうなる?親が連帯保証人の場合は?
・奨学金の免除
本人が死亡した場合、もしくは本人が精神もしくは身体の障害で働けなくなった場合は奨学金は全額免除されます。
奨学金を延滞するとどうなる?
奨学金を延滞すると以下のような流れで進んでいきます。
@本人に日本学生支援機構から督促の電話がかかる
A本人に督促の手紙が届く
B3カ月以上滞納した時は個人信用情報に登録される(ブラックリスト)
C4カ月以上の滞納でサービサー(債権回収会社)に業務委託され、自宅訪問など督促される
Dそれ以降は強制執行(給与差し押さえなど)の可能性あり
E9か月以上滞納すると残金、利息、延滞金などを含め、すべて一括返還を求められる、連帯保証人に請求がいく
1回滞納をするとまずは日本学生支援機構から電話がかかってきたり、手紙が届いたりします。先月の奨学金の引き落としができていません、といった内容です。来月分は2ヵ月分引き落としとなるので用意しておいてくださいと言われます。
これを無理して滞納すると、3回目の滞納でブラックリスト入りします。これは信用情報機関に事故情報が載ることで、ブラックリスト入りすると新規でクレジットカードの審査に通らなかったり、ローン(自動車ローンや住宅ローン)を組めなかったりします。
クレジットカードがないと海外旅行の時に大変不便します。ローンが組めないと結婚生活の時に支障が出ます。
4回目の滞納で債権回収会社に取り立ては委託となり、その後は民間会社によって、民間ルールに基づいて取り立てされることになります。
給与差し押さえや預金差し押さえや自宅訪問も当然あり得ます。奨学金を利用する時に職場の情報や銀行口座の情報を入力したと思いますが、その情報を頼りに給与や預金の差し押さえをされてしまいます。
9回目の滞納で一括請求されることになります。サービサーから書留郵便が届き、それは必ず本人が受け取らないといけないものとなります。そこには民事訴訟の内容が書いてあります。中に和解書が入っており、そこに月々〇万円の支払い方法を求めるという内容を書き、返送する必要があります。
ここできちんと和解書を返送し、債権回収会社や日本学生支援機構に事情を話し、双方が納得する形での返済金額と返済期間になれば、訴訟は取り下げとなります。
和解すらしない場合は、本当に民事訴訟を起こされ、一括請求の権利を認められてしまいます。
その後は一括請求をされ、それを本人が払えない場合は人的保証の場合は連帯保証人に請求がいきます。延滞金(年5%)と訴訟代を合わせた金額を連帯保証人が払わないといけません。連帯保証人も払えないと保証人に請求が及びます。
3カ月以上滞納すると大変なことになるのです。滞納しそうな時はすぐに奨学金相談センターに電話で相談し、返還期間の猶予申請をする必要があります。返還期間の猶予は過去の滞納分も遡って申請が可能ですので、既に滞納している方もすぐに申請をするようにします。
・スカラネットPSに登録すると今の奨学金の状況が一目でわかる、ここから簡単に各種手続きや繰り上げ返済ができる
・3カ月以上滞納するとブラックリスト登録され、9か月以上滞納で一括請求される。返済できない時はすぐに相談し返還期間の猶予を受けるようにする
・返還期間の猶予を申請すると1年間(12か月)返済と利息はストップする。この間にできるだけ貯金しておく(最大10年延長可能)
・お金が貯まったらスカラネットPSからこまめに繰り上げ返済をして支払う利息を減らしていく
・奨学金以外にも借金をしており(多重債務)機関保証にしている人は自己破産をすることも可能