奨学金の返還期間の猶予について

奨学金が返せない時の返還期間猶予の申請方法について

今回は返還期間の猶予の概要と利用条件と申請方法について解説します。返還期間の猶予は滞納分も過去遡って申請できるのでそのやり方についても解説します。書き方の例文についても付けています。

 

返還期間の猶予とはどういった制度なのか?

既にわかっている方も多いと思いますが改めて制度について解説します。現在収入が少なくて一時的に奨学金が返済できない方向けの救済制度となります。返還期間の猶予を申請すると、承認後の1年間(12カ月間)は返済は完全にストップします。その期間は利息は一切発生しませんし、延滞金も発生しません。ブラックリストに登録されることもありません。この返還期間の猶予は1年単位での申請となり、その都度申請すれば最大で10年間猶予が可能です。返済総額が減るということはなく、あくまで一定期間返済を猶予してもらえ、返済を先送りにできる、ということです。

 

もし奨学金を滞納している場合は、ブラックリストに載ったり、サービサーからの督促があったり、給与差し押さえされたり、9か月の滞納で一括繰上げ請求されたりしますから、払えない時は必ず返還期間の猶予を申請するようにします。これは必ず本人(自分で)が申請しないと適用されません。

 

公式HPから書類をダウンロードし、それを記入例を参考にしながら記入し、添付書類を用意してそれと一緒に郵送すれば審査してもらえます。提出物は以下の3枚です。

  1. 返還期限猶予願
  2. チェックシート
  3. 返済困難な状況を示す証明書

返還期間の猶予の利用条件

利用条件は以下の通りです。まずは自分がどこに該当するのか確認する必要があります。

 

返済できない事由 詳しい状況 収入条件
傷病(無職) 病気やケガで働けない
失業中 失業後6か月以内で、かつ再就職できていない
生活保護受給中 生活保護受給中である方。
入学準備中 卒業後1年以内で、大学・大学院などに進学する準備をしている
経済困難 無職・未就職・低収入により返還できない

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

新卒等 卒業後1年以内で、未就職・低収入により返還できない

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

育児休業 産前、産後休業および育児休業により低収入で返還できない

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

特別研究員 日本学術振興会等の特別研究員である方
外国で研究中 外国の研究機関で研究していて、低収入 年間収入金額(税込) 300万円以下
大学校在学 防衛大学校・防衛医科大学校・海上保安大学校・気象大学校・職業能力開発総合大学校・国立看護大学校のいずれかに在学している方。
海外居住 海外に居住していて低収入のため返還困難

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

今年海外から帰国 海外居住で日本を離れていたが今年1月2日以降に帰国している方。

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

海外派遣 青年海外協力隊・海外農業研修等で派遣されている方

給与所得者 300万円以下
給与所得者以外 200万円以下

 

一般猶予の申請事由については詳しくは以下をご覧ください。
日本学生支援機構 一般猶予(https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/yuyo/ippan/index.html

 

多くの方は経済困難に該当するはずです。
去年の年収が給与所得者(サラリーマン)の場合は年収300万円以下、その他(個人事業主など)は200万円以下でしたら申請可能となります。「去年の年収はどのくらいか」という点が1つの基準となります。

  • 給与所得者→年間収入金額(税込) 300万円以下
  • 給与所得以外の所得を含む場合→年間所得金額(必要経費等控除後) 200万円以下

もし去年の年収が300万円以下の場合は経済困難に該当しますから、HPから申請書をダウンロードして記入し、あとは添付書類として去年の所得証明書を市役所で発行してもらい、それらを提出します。提出物は以下の3つです。

  1. 返還期間猶予願(HPからダウンロードして記入)
  2. チャックシート(HPからダウンロードして記入)
  3. 所得証明書(市役所で発行してもらい添付する)

もし年収が300万円(給与所得者以外は年収200万円)以上の方でも以下のケースでは申請が可能です。

  • 傷病(無職)…傷病 病気やケガのために無職になった
  • 失業中…6ヵ月以内に申請する
  • 生活保護を受給している
  • 災害にあった…1年以内に申請する
  • 減収…去年は年収が300万以上あったが、今年に入って収入が減り返済できる状態にない

これらについてもまずは返還期間猶予願とチェックシートを記入し、添付書類を集め、3つ用意できたら日本学生支援機構に郵送します。添付書類は以下の通りです。

返還できない事由 添付書類
傷病(無職)

診断書 (最近発行2か月以内)
※就労困難の記載があること。
※加療開始始期または発症時期に加え、現在も就労困難という記載があること。
※上記内容を医師に追記してもらう場合は、追記日・担当医署名・訂正印が必須。

失業中

(1)〜(4)のいずれか1点を提出してください。
(1)雇用保険受給資格者証(求職活動記録面含む)のコピー
(2)雇用保険被保険者離職票のコピー
(3)失業者退職手当受給資格証のコピー
(4)雇用保険被保険者資格喪失確認通知書のコピー(喪失理由が離職で、離職年月日が確認できる場合に限る)

生活保護

(1)または(2)のいずれかを提出してください。
 (1) 生活保護受給証明書(最近発行2か月以内)
 (2) 民生委員の証明書 (最近発行2か月以内)

災害 罹災証明書
減収

※減収についてはケースによって異なるため必ず添付書類は返還相談センターで確認をとってください
所得証明書
直近3ヵ月の給与明細(給与所得者)
直近3ヵ月の会計ルールに則った帳簿(個人事業主)

 

返還期間の猶予の申請方法

流れとしては以下の通りです。

  1. 一般猶予の申請事由の中で自分がどれに該当するのか確認する(殆どの人は経済困難に該当)
  2. 日本学生支援機構のHPから申請書をダウンロードし、記入例を参考にしながら記入する
  3. 申請事由によって必要な添付書類は異なるので、自分が必要な添付書類を用意する
  4. 少しでも疑問点があれば奨学金返還相談センターに聞く(重要)
  5. 書類を日本学生支援機構に郵送する
  6. 審査には約2ヵ月かかり、その間は引き落としがあるので、必要なら口座を空にしておく
  7. 2ヵ月後に審査結果が家に届く

 

一般猶予の申請事由(返済できない理由)については詳しくは以下をご覧ください。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/yuyo/ippan/index.html

 

申請書のダウンロード記入例必要な添付書類一覧については詳しくは以下をご覧ください。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/todokede/yuyo.html

 

奨学金返還相談センターの連絡先は以下の通りです(もし家でダウンロード、印刷できない方は返還相談センターに言えば申請書の郵送をしてもらえます)

奨学金返還相談センター

電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル)
海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは⇒03‐6743‐6100
月曜〜金曜:8時30分〜20時00分(土日祝日・年末年始を除く)


郵送先は以下の通りです。

独立行政法人日本学生支援機構 返還部 返還猶予課

〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7


注意点としては、少しでも記入間違えや添付書類の不備があると審査に通らず返送されます。審査には2ヵ月程度かかりますから、それで審査に通らない後々面倒です。記入例をみながら正しく記入する必要があります。これについては奨学金返還相談センターで質問をすればすべて答えてくれます。

 

わからないことはすべて上に確認をとってくれます。少しでも疑問に思うことがあれば、郵送する前に相談センターで確認をとっておくとよいです。返還相談センターで確認をとってから郵送するのが一番確実です。私も実際にそうやって審査に3度通りました。

 

申請書の記入でよくあるミスについて

「奨学金減額返還願」なのか「奨学金返還期限猶予願」なのか必ずどちらかにチェックを入れる

→猶予を希望する場合は後者です。チェックを入れ忘れると書類は返送されてしまいます

 

1枚の申請書で12ヵ月よりも長い期間の猶予を書いてしまう

→1枚の申請書につき最大で12カ月間(1年)です。過去に何年も延滞している場合は12ヵ月分ごとに期間を区切って申請書を複数作成します
希望猶予時期については「できるだけ早く」選択すると一番早い時期から猶予となります。

 

猶予を求める理由に毎月の収入と支出の具体的な金額を記載していない

→事情欄ですが、必ず具体的な数値を入れる必要があります。手取りはいくらで毎月の支出(家賃や光熱費)はいくらかかっているのか「〇万円」という形で記入します。
数値を用いて書いていないと、今後の返還の見通しが曖昧だという理由で返送されることがあります。

 

申請書の書き方について(例文付き)

事情欄の記入のポイントですが、必ず毎月の収入と支出を具体的な数値を用いて記入します。たとえば手取りは月々いくらで、支出(家賃や光熱費や食費や通信費やその他の費用)はいくらなど。

 

私は3度ほど申請をしていますが、今の生活状況を具体的な数値(収入は〇万円で支出は〇万円)を用いて書いて、その生活状況では奨学金を返済できる状態にはありませんということと、今後の返済予定を書いたら問題なく審査に通りました。

 

記入例は以下の通りです。

 

記入例(経済困難)

大学卒業後、アルバイトで生計を立てています。手取りは月15万円前後で、賞与や臨時収入はありません。支出は家賃、食費、光熱費、インターネットと携帯電話代で毎月10万円がかかり、残りから医療費と簿記の勉強の学費を支払っています。椎間板ヘルニアのリハビリに月2000円程度かかります。奨学金返還が困難です。返還期限猶予をお願いします。今年中には正社員として就職して、返還を再開したいと思っています。猶予を承認された期間の終了より早く返還が再開できるようになれば、返還期限猶予短縮願を提出します

 

記入例(新卒等)

3月に大学を卒業した後、アルバイトで生計を立てています。手取りは月15万円前後で、賞与や臨時収入はありません。支出は家賃、食費、光熱費、インターネットと携帯電話代で毎月10万円がかかり、残りから医療費と就職活動のための簿記の勉強の学費を支払っています。椎間板ヘルニアのリハビリに月2000円程度かかります。奨学金返還が困難です。返還期限猶予をお願いします。今年中には正社員として就職して、返還を開始したいと思っています。猶予を承認された期間の終了より早く返還が再開できるようになれば、返還期限猶予短縮願を提出します

 

記入例(傷病)

5年間食品工場に勤めていましたが、長期勤務のため精神的に不安定になりうつ病になってしまい、仕事を続けることができなくなり退社することになりました。現在はアルバイトで生計を立てていますが、月の手取りは10万円ほどで昇給も見込めません。実家暮らしではありますが、家に5万円いれており、その他交通費や通信費や治療費で合計毎月9万円はかかっており、手取りがなくなってしまいます。現在治療中のうつ病は改善してきており、あと半年もすれば完治すると医者には言われています。今後就職活動の費用も必要ですので、新たに定職に就けるまでは返還期限の猶予を希望します。定職に就くことができれば、返済は再開したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

記入例(失業中)

5年間勤めていた会社が倒産し、再就職を試みましたが、うまくいかず、現在はアルバイトで生計を立てています。アルバイトの給付は15万円程度で、家賃と光熱費と通信費と食費などで15万円ほどかかり、生活はギリギリです。奨学金の返還が困難になってしまいましたので、返還期限の猶予をお願いします。現在、失業中ではありますが、職業訓練学校に通い、資格を取得して再就職を試みています。資格取得は1年以内に可能ですので、なるべくはやく資格を取得して再就職することで、通常の月賦金額で返還を再開する予定です。思った以上に早く就職できた際には、猶予期間短縮願を提出して、通常の返還を再開しますので、それまでの間、奨学金の返還猶予をお願いします。

 

既に滞納している場合、過去を遡って返還期間の猶予は可能か?

既に滞納している場合でも過去に遡って(過去の分まで)延滞期間の猶予を使うことはできます。

 

たとえば2018年3月時点で、2016年4月〜2018年3月までの2年間延滞している場合、2016年4月〜2017年3月分(12ヵ月分)と2017年4月〜2018年3月(12ヵ月分)の2年間分の猶予をすることができます。前述した通り返還期間猶予願1枚につき最大で12ヵ月間の猶予となります。もし過去2年分申請する場合は2枚提出する必要があります。

 

もし今現在何カ月も滞納をしていてその分を請求されているケースでも、過去の分をすべて返還期間の猶予を使えば、それらは返済期間がまだきていないことになりますので、延滞金もつかなくなりますし、請求もこなくなります。現時点では滞納分は支払う必要がなくなります。猶予が終了した時点で、また1ヵ月分を月々払っていくことになります。

 

既に滞納しているケースでの返還期間の猶予ですが、「いつから滞納しているのか」をハッキリさせる必要があります。必ず申請書を書く前に奨学金返還相談センターに電話をし、具体的な書き方と、いつから滞納しているのかを教えてもらい、猶予期間を正しく記入する必要があります。