自己破産と奨学金

奨学金でも自己破産できる?親が連帯保証人の場合は?

そもそも奨学金は自己破産の対象になる?

奨学金(日本奨学生支援機構から借りた)は学費のための借金であり「公的」な貸付のイメージがあるためか「奨学金は必ず返済しないといけない」と思い「自己破産は無理だ」と考える人がいるようです。

 

奨学金も立派な債務ですから自己破産の対象となります。奨学金であっても自己破産は可能で、免責が認められれば借金はゼロになります。

 

奨学金を自己破産する時に注意したい点があります。以下の2点となります。

  • そもそも債務者が「支払い不能状態」に陥っているかどうか
  • 奨学金の連帯保証人を誰に設定しているか(自己破産をすると連帯保証人に一括請求がいくため)

それぞれ順を追って解説していきます。

奨学金を含む借金によって支払い不能状態に陥っているかどうか

自己破産をするには債務者が「支払不能状態」である必要があります。支払不能状態とは「借金の返済に滞っていて、将来返済の目途が立たない状態」のことをいいます。言い換えれば借金の返済ができなくて普通の生活が送れていない状態です。

 

支払い不能状態であるかどうかの一つの基準は「3年以内に借金を返済できるかどうか」です。たとえば消費者金融やカードのキャッシング枠からの借金の場合は、利息が年15%〜18%となります。

 

1日単位で借金が増えていき、その状態で「3年以内に返済できるかどうか」が問われます。利息が高いとその分借金も大きくなっていきますから、たとえ収入が多くても支払い不能であると判断されることがあるのです。

 

奨学金は、利息がない、もしくは低利子であることがほとんどです。「返還期限猶予制」や「度減額返還制度」によって返済を一旦ストップできたり、月々の返済額を減額してもらえたりします。返済期間は最長で20年に設定されており、月々の返済額も1万円〜3万円と低く設定されています。

 

月々数万円の返済だけで支払いが追いつかなくなるというのは現実的に考えられないので、奨学金単体での自己破産はなかなか考えられないかもしれません。

 

奨学金以外にも借金をしており、奨学金を含む借金の月々の返済が追いつかないで、今後も返済の目途が立たない状態でしたら「支払い不能状態」と考えられます。

 

奨学金だけのケースでは、自己破産の利用条件を満たさない可能性があります。ただし奨学金だけでなく、他の借金も抱えていて多重債務で悩んでいるケースでは、自己破産が認められる可能性があるのです。

 

奨学金を含む借金が「支払い不能状態にあるかどうか」の判断はとても難しいです。通常の借金だけですと「3年以内に自力完済できるかどうか」という基準だけで判断できるのですが、奨学金はそもそも20年という返済プランの中で返済していくものですので、その枠では考えられません。

 

ようは「毎月の返済額」に対して「毎月の借金に回せるお金」が明らかに少なく、今後完済できる目途が立たないようなら自己破産は可能です。
たとえば弁護士ドットコムでは以下のような質問があり、弁護士はこう答えています。

 

【質問】例えば大学の要返済の奨学金を借りまくったとして卒業と同時に自己破産で借金をなくすことって可能なのでしょうか?

 

【回答@】例えば,就職ができず収入がない,といった事案であれば自己破産申立てが可能かもしれません
【回答A】破産の要件を充たし、免責不許可事由や非免責債権にあたらないと考えられるなら、借金をなくすことはできると思います。
【回答B】奨学金も債務ですので,自己破産は可能でしょうが,連帯保証人に対して請求が行くことになるでしょう。
【回答C】借りる時点で、返済する意思がないと、免責になりませんが、卒業しても就職先が決まらず、無収入の状態が続けば、破産せざるを得ない場合もあると思われます。
※引用:弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/c_1/c_1036/c_1037/b_368980/)


4人弁護士が皆自己破産は可能と答えているので、奨学金単体の借金であっても、収入が全くないなど返済が不能であると判断されれば自己破産は可能とのことです。ただし返済する意図があるにも関わらず就職に上手くいかず、収入が全くないといった状況に陥ってしまった場合です。働けるのに働かないで自己破産をするのは認められません。

 

この点については奨学金は絶対に自己破産できないと決めつけないで、まずは弁護士や司法書士に初回相談で自己破産できるかどうか見積りを出してもらうとよいです。

 

 

奨学金の連帯保証人を親に設定しているケース

奨学金を利用する時、「機関保障」か「人的保障」か、どちらか選択していると思います。機関保障とは、保証機関に毎月保証料を支払うことで、連帯保証人をつけなくてもよいという制度です。

 

人的保証を選択した場合、親や親族を連帯保証人と保証人に設定していると思います。自分が機関保証にしたか人的保証にしたか確認方法ですが、奨学金返還相談センターに電話して奨学生番号を伝えればどのような保証制度にしているか確認ができます。

 

奨学金返還相談センター

電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル)

海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは⇒03‐6743‐6100
月曜〜金曜:8時30分〜20時00分(土日祝日・年末年始を除く)

 

またはスカラシップPSに登録している人はその管理画面の「詳細情報」の「保証情報」を見ればわかります。

 

まずは「機関保証にしているのか」「人的保証にしているのか」「人的保証にしているケースでは誰を連帯保証人と保証人に設定しているか」確認する必要があります。

 

奨学金と自己破産

 

自己破産の注意点として、自己破産をすると債務者が支払えなかった分の借金はすべて連帯保証人に一括請求いくことになります。

 

連帯保証人を親に設定しているケースでは注意が必要です。自己破産をすると、破産者が支払えなかった借金はすべて連帯保証人に請求がいきます。機関保障にしているケースでは自己破産をして払えなかった借金は保証会社に請求がいくので特に問題は起きません。

 

人的保証にしており、連帯保証人を家族に設定している場合は、自己破産をすると債務者の奨学金はすべてその連帯保証人に一括請求がいきます。連帯保証人は一括返済できる場合は返済し、できない場合は債権者と折り合いをつけ、分割返済していくことになります。

 

このケースでは奨学金は連帯保証人(親)に移動しただけですから、自己破産のメリットは享受できないことになります。奨学金の連帯保証人を親に設定しているケースでは特別な対策が必要です。具体的には以下の3点となります。

  • 債務者と連帯保証人が同時に自己破産をする
  • 自己破産はせずに、奨学金を連帯保証人(親)と協力して自力返済していく
  • 債務者が任意整理をして借金を減額し、それを連帯保証人(親)と協力して返済していく
債務者と連帯保証人が同時に自己破産をする

債務者(借り主)と連帯保証人の2人が同時に自己破産をすると奨学金は完全に免除となります。2人一緒に同じ弁護士事務所に依頼することで弁護士費用は安くなります。自己破産とは債務者の財産を換金してすべて債権者に差し出す代わりにこれまでの借金を全額免除してもらう手続きとなります。

 

債務者と連帯保証人が一緒に自己破産すると、債務者と連帯保証人の財産(土地や家や車など)はすべて失われることとなります。当然生活に困らないために99万円までの現金と生活に必要な財だけは手元に残すことができます。

 

自己破産はせずに、奨学金を連帯保証人(親)と協力して返済していく

債務者だけでは返済していけない時、連帯保証人の援助を借りて返済していく方法となります。もし連帯保証人に資産がある場合はこちらの方法の方がよいです。自己破産をすると2人の財産はすべて失ってしまうので。奨学金は利息の上限は年3%となっており、とても低く設定されています。毎月の返済額も数万円となっています。ですから親の援助でまとまったお金が用意できるならどんどん繰り上げ返済をしていきます。また債務者の収入が全くないときは返済を止めることができます。

 

一般猶予をしている期間は利息は停止します。最大10年間一般猶予が可能です。そういった制度も上手に利用しながら自力返済をしていきます。債務者だけでは返済できない場合、いかに親や兄弟の力を借りれるかがポイントとなります。奨学金の自力返済の方法は以下を参考にしてみてください。※返済が困難だから自己破産を考えているのに、自力で返済していく、という矛盾がある気もしますが・・・
私が約390万の奨学金を3年で完済した方法【返済できない方へ】

 

債務者が任意整理をして借金を減額し、それを連帯保証人(親)と協力して返済していく

これは奨学金以外にも借金をしている(多重債務)ケースです。奨学金の利息はとても低いですが、もしその他に借金をしている場合、民間の借金の利息はとても高いです。その奨学金以外の借金は任意整理をします。

 

任意整理をすると利息を停止でき(年0%にできる)、元本分を3年〜5年での分割返済が可能です。これで奨学金以外の利息の高い借金の返済の目途がたつことがあります。
債務者だけでは難しい場合は家族の援助も借りながら返済をしていきます。現実的な問題として、連帯保証人のついた奨学金等の借金は本人だけの問題ではないので、まずは弁護士と相談し、適切な借金整理をしてもらうことが大事です。

 

機関保証へ変更して自己破産することは可能?

原則、人的保証から機関保証には変更することができません。ただし、連帯保証人もしくは保証人のどちらかが死去・障害者になる・生活保護受給者や無年金等で収入がない という状況に限り、人的保証から機関保証に変更することができます。さらに以下の3つの条件を満たし、保険料を支払うことで変更が可能です。

  • 延滞していないこと
  • 振替口座(リレー口座)による返還を行っていること
  • 本人が破産、債務整理等の状態にないこと

以下が学生支援機構の公式見解となります。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/todokede/hoshotype.html

 

人的保証から機関保証に変更できるかどうかについては相談センターで一度お問い合わせして確認してみるとよいです。

奨学金返還相談センター 電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル) 月曜〜金曜:8時30分〜20時00分(土日祝日・年末年始を除く)

 

人的保証に設定している状態で無断で自己破産するとどうなる?

破産者本人の借金返済の義務はなくなりますが、返済できていない分の奨学金は連帯保証人へ一括請求がいきます。多くのケースで一括で返済は難しいですから、サービサー(債権回収会社)と話し合い、分割で返済することになります。もし連帯保証人が返済できない状態の場合は、次は保証人に請求がいきます。人的保証では連帯保証人と保証人の2つの担保をとっていますから、債務者が払えなかったら連帯保証人へ、連帯保証人が払えなかったら保証人へ請求がいくこととなります。

 

 

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