自己破産と給料差し押さえ

自己破産の前後で給料の差し押さえされることはある?

自己破産をする前後で給料の差し押さえされる可能性はある?

給料差し押さえをされると職場に借金をしている事実が知られてしまいますし、給料の何割かは債権者に回収されてしまいます。そういったことから「自己破産をする前後で給料差し押さえされてしまうのではないか?」と不安に感じている方は多いと思います。

 

そもそもの話ですが、給料差し押さえというのは債務者の職場を債権者が特定している状態でないと行えません。ようは債権者が明確に「債務者はどこどこで働いている」と分かっていないとできません。最初の審査の段階で教えた職場と今の職場が同じでしたら知られています。

 

転職したり、変更したことを債権者に教えていない場合は、債権者はどこで働いているか知りようがないので、給与差し押さえをすることはできません。大前提としてそういったことがあるのです。

 

もし職場を知られているケースで自己破産をするとその前後の期間で給与差し押さえされてしまうのかどうかですが、殆どのケースで差し押さえされることはありません。どの道自己破産をすると債務者の財産は99万円以下の現金と生活に必要な財を除いてはすべて、債権者に平等分配されることになります。

 

債務者が毎月貰っている給料は自己破産では債権者に対して平等分配される財産なのです。そういったことがありますから、わざわざ給料差し押さえをしてくる貸金業者は殆どいません。

 

給与差し押さえをするには「職場を特定している状態であること」「債務名義を取ること(事前に通知が届く)」「それに対して応じなかったら差し押さえをする」という手順になります。給与差し押さえをするには膨大な手間とお金がかかるのです。給料の差し押さえは手取りの4分の1、もしくは手取りが44万円以上の場合は33万を超える部分についてのみ回収ができます。全額回収できるわけではないのです。

 

ただし、中にはせっかちな債権者がおり、破産開始までの期間が長引くと訴訟をしてくる業者もいます。債務整理の重点業務の事務所ですと予め「〇〇社は訴訟してきやすい」とか「〇〇社は寛容である」などの債務整理のデータが集まっています。自己破産の手続きでは、弁護士に依頼すると弁護士が受任通知を送ってくれます。

 

この時点でこの借金問題はすべて弁護士が代理人として活動すると伝えることになり、すべての債権者からの連絡は担当の弁護士にいくようになります。取り立てはストップしますので、この間に弁護士費用を毎月分割返済していきます。だいたい3ヵ月〜半年で積立て終える方が多いです。積立て終えたら書類を作成してくれ、申立てとなります。

 

ポイントとしては「破産の開始決定後は強制執行はできない」ことと「既に行われている強制執行については破産決定後は効力を失う」ということです。根拠は以下の通りです。

 

破産法

第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

 

2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

 

破産の開始の決定は破産申し立てをしてから数日後から遅くても1ヵ月後に出ます。

 

ようするに弁護士費用を積立て終えて、弁護士が書類を作成して申立てをして、破産決定がされた時点で、債権者は給与差し押さえは一切できなくなり、さらにもし債務名義を取られている状態でもその給与差し押さえは無効となるのです。その後は3ヵ月〜半年程度かけて自己破産の手続きを行い、免責をおりるという流れですが、差し押さえの心配は一切ありません。

 

まとめると、弁護士に依頼をしてから、弁護士費用を積み立てて、破産開始の決定がされるまでの期間にせっかちな債権者ですと極希に給与差し押さえをしてくることがあります。そういったケースでは債務名義を取る前に必ず担当の弁護士へ裁判の通知が来ます。通知がきたら担当の弁護士がすべて対応してくれ粘り強く交渉してくれます。費用が積立て終え次第、申立てと破産開始の決定がされます。その時点で給与差し押さえの心配は一切なくなるということです。

 

このように、そもそも給与差し押さえをする債権者はごく稀であること、一部行儀の悪い債権者もいますが、そういった場合は代理人弁護士が対応してくれます。

 

ですから自己破産前後で給料差し押さえの心配をする必要はありません。ただしあまりに弁護士費用の分割払いが遅れるとせっかちな業者もいますので、弁護士費用支払いには力を入れてできるだけ早く積立て終えるようにします。

 

 

 

 

給与差し押さえされやすい人とされにくい人

自己破産の前後の期間だけでなく、借金を長く滞納していると、債権者は差し押さえをして、借金を回収する手続きをしてくることがあります。

 

前述した通り「債務者の職場が特定されている」ということが大前提となります。それに加えて給与差し押さえされやすい人とされにくい人の特徴ですが、たとえば債務者が上場企業の社員であるとか、それから公務員であるなどといった場合には安定した収入が毎月入っていると考えられますから、この給料の差し押さえは実行されやすくなります。

 

職場を転々とする、職業を転々とするといったような債務者ですとと、給料を差し押さえたとしてもまたそこの職場を辞めてしまうということで、なかなか差し押さえに踏み切らない債権者が多いです。

 

職場を辞めないでしばらくいるだろうと判断され、給料の差し押さえをされますと、支給額から天引き額である租税とか社会保険料を控除したその手取りの部分につきまして4分の1まで差し押さえがされます。

 

また44万を超える給料を貰っている人に対しては33万を超える部分については全部差し押さえができるということになっています。

 

これは、差し押さえ禁止財産というものがあり、現金などもある一定の額以上は差し押さえることができないように定められているのです。これは、最低限の生活をするために全てを差し押さえることができないようになっています。

 

給料差し押さえされるんじゃないかと不安な場合

給料差し押さえで不安な生活を送っているケースでは、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士に相談すると「受任通知」を各債権者に送ってくれます。こうすることで、債権者は取り立てができなくなります。また希望があれば自己破産の申し立ても早い段階でしてくれるので、破産開始の決定がされた時点で差し押さえを止めることができ、差し押さえをできなくすることができます。

 

職場が知られていて差し押さえを食らうんじゃないかと不安な場合は、債務整理に強い弁護士に無料相談をしてみましょう。

 

自己破産と給料差し押さえまとめ
  • 自己破産申し立て前は、債権者に職場が知られている場合は、給料差し押さえをされる可能性がある
  • 給料の差し押さえは手取りの4分の1、もしくは手取りが44万円以上の場合は33万を超える部分については差し押さえがされる。給料全額差し押さえされるわけではない
  • 自己破産の申し立てをし破産開始の決定がされると、債権者は差し押さえができなくなる。もしそれまでに差し押さえされていた場合は、差し押さえ中止となり効力を失う

 

 

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