任意整理後に自己破産をする

任意整理をしても、月々の返済が支払えずに自己破産に移行するケース!

そもそも任意整理から自己破産に切り替えることはできる?費用はどうなる?

法的には任意整理から自己破産に切り替えることは可能です。これはたとえば任意整理を弁護士(司法書士)に依頼して、返済計画を立てて、和解交渉をしている最中で切り替えることはできますし、和解が合意して返済計画通りに返済している最中でも切り替えることは可能です(勿論借金や経済状態を加味して自己破産で免責がおりる状況であることが前提です)。

 

任意整理はしたものの毎月の返済額が大きくて返済が間に合わず、支払いがきつくなり、自己破産に変更するケースは多いです。

 

この時にかかる費用(弁護士費用など)についてですが、和解が成立する前に任意整理に切り替えるケースでは着手金は弁護士に支払っているはずです。弁護士費用は主に「着手金(先に払うお金)」と「成功報酬(手続きが成功した時に払うお金)」の2つがあります。

 

着手金は返ってきませんが、成功報酬は勿論このケースでは払う必要はありません。自己破産の費用ですが、同じ弁護士に依頼するケースでは割引されることが多いです。全く別の弁護士に依頼すると当然割引きなどはされません。相場は30万円〜40万円となります。

 

返済計画を立てて和解後の返済中に切り替えるケースでは成功報酬も払っていますが、その費用は返ってきません。そこから新たな自己破産の費用が必要となります。

 

任意整理から自己破産に切り替えの流れですが、切り替えたい場合は早めに弁護士に伝えるようにします。自己破産に方針を変更した後は、債権者に返済することはできないので注意が必要です。必要な書類を集め弁護士に提出します。それと同時に自己破産の弁護士費用を支払っていく必要があります(自己破産に切り替える方針が決まった時から任意整理の返済はしなくなりますので、そのお金を弁護士費用に回していきます)。

 

一括で用意するのは難しいことが多いので何カ月かで積み立てていくことになります。着手金分だけでも積立て終えて、書類も用意できたら弁護士が裁判所に破産申し立てをしてくれます。あとはすべて代理人として活動してくれます。同時廃止では3ヵ月で手続きが終わります。管財事件では半年程度です。

 

注意点としては何度もコロコロと手続きを変更すると弁護士に辞任される可能性があります。あとは任意整理から自己破産に切り替える間、返済はストップしていますが、あまりに煮え切らない対応だと債権者に提訴される危険もゼロではありません。職場を債権者に特定されている場合は強制執行の可能性があります(給与差し押さえ)。これについては担当の弁護士にしっかり相談し対応してもらうようにします。

 

任意整理後の自己破産は可能?任意整理後の自己破産の注意点!

自己破産で免責がおりるかどうかの基準は以下の通りです。

  • 過去に自己破産した人は7年間は再び自己破産できない
  • 支払い不能状態であること
  • ギャンブルや浪費や投資での借金は裁量免責(今後の生活態度も含めて総合的に判断)

 

過去に自己破産をした方は7年以内に再び自己破産の申し立てをすることはできません。

 

自己破産では「支払い不能状態」であると裁判官に判断されないといけません。具体的な目安は「今ある借金を3年以内で自力で返済できるかどうか」です。3年以内の自力返済ができない場合は支払い不能だと判断されるケースが多いです。

 

そもそも任意整理をして借金整理を図って、その返済が困難で自己破産に切り替えたわけですから、この点は満たしている可能性が高いです。任意整理で返済計画通り返済できない場合2回以上の滞納で一括返済が求められます。再和解も可能ですが、そもそも支払い不能状態にもかかわらず任意整理をしていたことも考えられます。この点は担当の弁護士が借金と収入の状況をみて判断し、免責がおりる可能性が高い場合は手続きをしてくれます。

 

ギャンブルや浪費(買い物依存や異性関係など)や投資が理由で借金を増やした場合でも、破産管財人付きの自己破産でしたら免責がおりる可能性が高いです。このケースでは破産管財人の選出に費用が15万円ほど多くかかるので注意が必要です。破産管財人が中立な立場で借金を作った経緯やどこにお金を使ったかや生活状況を調査し、改善の見込みがあるか免責がふさわしいかどうか調査します。

 

どちらにしろ、今後の方針については、依頼した弁護士と十分に打ち合わせを行うべきです。

 

 

 

任意整理から自己破産に変更される原因について

任意整理後に支払いを2カ月以上滞納した場合、和解契約は無効となる

実は任意整理をされた方の約3割は返済計画での返済を最後まで完済できず、途中で挫折して自己破産に移行していると言われています。

 

任意整理の和解契約書の多くは、返済を怠ったときの条項が記載されています。例えば、「2回以上返済を怠り、延滞額が毎月の支払額の2回分以上になったとき、期限の利益を喪失する」というような文言です。

 

任意整理では2カ月以上滞納してしまった場合、期限の利益を失います。つまり、2ヶ月間支払いを延滞した場合、任意整理の分割払いの権利を失い、一括払いしなければいけません。整理中の3年〜5年というのは期間は短いようで、様々な出来事があるものです。支払に行き詰ったら任意整理の権利を失ってしまうのです。

 

なぜ任意整理が途中で失敗してしまうのか?

任意整理を途中で失敗してしまう原因は以下の3つです。

 

@そもそも任意整理の返済計画に無理があった

債務整理に強い弁護士に依頼すると、どの消費者金融はどこまで減らせるとか、前例でどのような計画を立てれば債務者は完済できるとか、過去のデータを持っているものです。
そういった弁護士に依頼すると、相談の段階で任意整理が可能か不可能か判断がつき、可能な場合にのみ任意整理をしてくれます。債務整理専門外の弁護士に依頼した場合、そういったデータがありませんから、無理な計画を立ててしまうことがあります。

 

たとえば、毎月の支払い可能額をすべて返済に充てて、娯楽を一切抜きの計画を立てた場合、3年あるいは5年の間、娯楽ゼロの生活を続けられるはずがありません。人間やはりどこからで息抜きも必要ですから、ストレスが溜まって、かえって健康を損ねたり、浪費に走ってしまいます。

 

2カ月以上の滞納で返済計画は破たんしてしまいますから、毎月1カ月〜2カ月の返済金くらい余裕がある状態を作っておく必要があります。過去のデータを数多く持った弁護士に依頼し「無理のない返済計画」を立ててもらうことが一番大事です。

 

Aギャンブル依存症

任意整理をする人の中にはパチンコや競馬などギャンブルが原因で借金を作った方もいます。そういった方は注意が必要です。

 

任意整理をすると、借金は減額され以前よりも生活に余裕が出てきます。ちょっとした娯楽にお金を使うのは問題ないのですが、ついギャンブルにまた手を出してしまうケースです。
ギャンブルには依存性があります。つい返済すべきお金に手を付けてしまったという事態だけは絶対に避けなければいけません。

 

B突然の病気やリストラ

大きな事故や病気、突然のリストラなどで収入が確保できなくなってしまうケースです。冠婚葬祭などの突然の出費もこれに該当します。任意整理では長期的な支払いが不可能になってしまった場合、失敗となります。

 

個人再生など裁判所を通した手続きでは急な病気やリストラは救済処置が用意されているのですが、任意整理ではそういった手続きではないため、返済計画は破たんしてしまいます。この場合、任意整理は断念して、自己破産に移行することになります。

 

任意整理後に支払いが遅れた場合どうなる?

任意整理後に滞納しそうなときは必ず事前に担当の弁護士に連絡を入れるようにしましょう。

 

具体的な状況を説明して、具体的にいつなら支払いができるか伝えます。今月分は支払えないけど来月になら支払える、という場合には、任意整理の和解契約を無効にすることなく返済を続けられます。

 

返済ができなくなった場合、当然再和解(返済計画の変更)というのも相談によっては可能な場合があります。ただし一回和解契約が成立しているので、再び返済計画案の組み直しに応じてくれるかどうかはすべて債権者次第となります。この点についても担当の弁護士と相談する必要があります。

 

はじめから自己破産をするのも一つの選択

任意整理で、毎月何万と返済を続けていても、途中で支払いを続けらえなくなって結局「自己破産」に移行するケースがあります。

 

最初から自己破産を選択しておけば、弁護士費用の支払い(40万円程度)と3ヵ月〜半年の手続きで免責がおり、その時点で借金は全額免除です。その後は自由に貯金ができます。途中から自己破産に変更したケースでは、それまで分割返済してきたお金も任意整理の弁護士費用もすべて無駄になり、さらにそこから自己破産に手続きをするのにも弁護士費用がかかります。

 

はじめの段階で任意整理を選ぶか自己破産を選ぶかの判断は慎重になる必要があります。実際、任意整理は絶対にうまくいくという保証はありません。過去にそういった債務者を数多くみてきた弁護士なら、最初に自己破産のことについても説明をしておく方もいます。

 

借金の解決方法は任意整理だけではありません。無理のある返済計画を立ててまで任意整理をして途中で無効になるなら、自己破産も一つの手段であると頭にいれておく必要があります。