自己破産した場合の家族への影響

自己破産した場合の家族への影響

処分されるのは本人の財産のみ

自己破産をする場合、関係してくるのは「債権者(貸した側)」と「債務者(借りた人)」と「連帯保証人(万が一の時に肩代わりする人)」の3者だけです。それ以外の方はたとえ家族であっても一切関係ありません。

 

自己破産とは債務者がその資力だけでは貸金業者に弁済できなくなった場合に、債務者の全財産をお金に代えて債権者に配当する代わりにその後の返済を免除してもらう制度です。

 

自己破産の効力は本人(債務者)だけです。ですから処分される財産は債務者のものだけです。それ以外の方の財産は完全に守られます。借金契約と自己破産に関してはご家族は法律上一切関係ありません。家族の財産が処分されることも、借金を背負うこともありません。

 

ただし、破産すると破産者のマイホームや自動車などの所有物はすべて処分されます。(破産後の生活に困らないために99万円までの現金は自由財産として手元に残しておくことができます)

 

債務者のマイホームや車が売却されるわけですから、法律面では全く影響しませんが、生活面では一緒に住んでいる家族は影響を受けるでしょう。

 

また、本人の財産といっても、家族共有名義の財産など、どこまでが処分対象になるのか曖昧な部分もあると思います。今回は生活面での家族への影響と財産処分の境界線について説明していきます。

 

マイホームは処分される

自己破産した場合、不動産は資産として価値をもっているので競売にかけられ処分されます。

 

自宅が家族共有名義だった場合は?

夫婦で共働きの場合などでは良くある事ですが、自宅が家族共有名義の場合はどうなるのでしょうか?

 

たとえば、夫が破産をした際、持ち家の名義が妻であれば自己破産の手続きで持ち家を処分する必要はありません。

 

ただし、本人の財産かどうかは単に名義だけで決まるものではありません。実際に誰がいくら支払っているのか実質的に判断されます。

 

妻名義の持ち家でも、住宅ローンの支払いの大部分を夫がしているのであれば、実質的な所有者は夫になります。

 

持ち家が妻名義、家族共有名義であっても実質的にみて本人の財産だと判断されれば処分の対象となってしまうのです。

 

自宅が家族共有名義の場合は判断が難しく、実質的な所有者を判断されて決まります。

 

 

自宅を失った後の住居はどうなる?

自己破産の申請をしてもすぐに持ち家が処分されるわけではありません。手続き中もそうですが、免責決定後にもしばらくは猶予があります。

 

というのも、自己破産によって処分の対象になった不動産は、競売か任意売却されることになりますが、売却するにも半年〜1年の期間を要します。

 

その間は住むことができるということです。ただし、いれず出ていかなければいけません。新たな居住地を見つけなければいけないのですが、破産によって信用情報に登録されます。

 

信用情報を照合するのは「信販系の保証会社」だけです。それ以外の保証会社は信用情報を照合しませんので、不動産屋で信販系の保証会社は避けたいと伝えておけば、問題なく新しく賃貸マンションを借りることができます。

 

また、公営住宅に入るという手もあります。税金の滞納さえなければ自己破産をしていても公営住宅に住むことができます。

 

新しい居住先については担当の弁護士からも話があるのでそこで相談するとよいです。財産を処分してできて資金を弁護士費用や引っ越し費用として配分してくれる可能性があります。

 

賃貸物件にお住いの場合

現在の住宅が賃貸の場合、自己破産を理由に追い出されることはありません。昔は賃貸契約で破産について書かれていることもあったのですが、現在ではそのようなことはありません。

 

そもそも自分から話さない限り自己破産をした事実も知られることはないでしょう。(官報から知られることはありますが、官報を一般の方が毎日チェックすることはありません)

 

ただし家賃を滞納している場合は別です。毎月きちんと家賃を支払っていればマンションに住み続けることができます。

 

夫が破産すると妻の財産はどうなる?

妻が結婚前から財産を持っており、結婚後もコツコツと貯蓄している場合、夫が自己破産をすると妻の財産はどうなるのか。夫と妻の財産関係については以下のように定められています。

夫と妻の財産関係

1.結婚前から貯蓄している財産は、結婚後も固有資産として認められる

 

2.結婚中でも、夫婦がそれぞれ自分の名義で得た財産は固有資産として認められる

 

3.家財道具など夫婦いずれかの名義か不明な場合は共有資産とする

 

結婚前から所有していた財産は妻のモノであると認められ、破産の影響は受けません。また、結婚中でも、妻が自分名義で得た財産は固有資産と認められ、破産の効力は及びません。

 

共有資産に関しては、妻の財産に対する貢献度を見て、破産財団に組み込まれる割合が決定されます。

 

つまり、結婚前、結婚中に関わらず、妻が稼いできた固有資産は守られ、家財道具などの共有資産は割合を調べられて破産者分は没収されます。

 

家族の誰かを連帯保証人にしている場合

免責を受けて借金を返す責任がなくなるのは、破産申し立てをした本人だけです。

 

保証人(連帯保証人)までの免責はされません。本人から返してもらえなくなった債権者は保証人に対して借金の一括返済を求めてきます。

 

よって、家族の中の誰かを保証人に立てている場合は、自己破産のメリットを受けることができません。

 

取立てが保証人に対して行われることになりますので、結果的に保証人になっているご家族に迷惑をかけることになります。

 

ご家族とよく話し合って、自己破産以外の借金整理の方法を選ぶ必要が出てくるでしょう。

 

※消費者金融やクレジットカード、銀行のカード等は連帯保証人不要です。これらの借金には連帯保証人がついていないので、自己破産をしても影響はありません。保証会社が肩代わりをします。

 

自己破産すると家族もクレジットカードを使えなくなるのか?

基本的に本人が自己破産したからといって家族がクレジットカードを使えなくなるなんてことはありません。

 

自己破産をすると本人は官報に公表され、信用情報にも登録されるので一定期間クレジットカードは使えなくなります。

 

しかし、ご家族の信用情報には全く影響ありません。自己破産したからといってご家族のクレジットが使えなくなったり、ローン審査が不利になることは基本的にはありません。

 

ただし例外があります。「家族カード」を使用している場合は別です。

 

「家族カード」とは、契約者以外にも、家族の方でも買い物の支払いやキャッシングが利用できるサービスです。「家族カード」は本人契約でのサービスで、ご本人の信用情報が適用されますので自己破産をすると使用ができなくなります。

 

 

破産した時の子供への影響

親が自己破産したからといって、子供に影響することはありません。借金問題は債務者(借りた側)と債権者(貸した側)、それと保証人の3者だけの契約です。

 

裁判所の申し入れによって自己破産をすると、法的に不利益がでるのは債務者と保証人だけです。それ以外の人に影響を与えることはないです。なので、保証人になっていない限り、子どもへの法律的な影響はまったくありません。

 

親が自己破産したからといって、進学できなくなったり、就職できなくなったり、結婚できなくなったりすることはないのです。

 

自己破産したことは住民票や戸籍に載らないので、破産者が自分で言わない限り、他人に知られることはありません。

 

親が自己破産をすると子供は奨学金を借りられなくなる?

そんなことはありません。親が自己破産したからといって、お子さんの信用情報に影響を与えることはありません。お子さんが奨学金を借りることは可能です。

 

ただし、奨学金を借りるためには「保証人」が必要です。自己破産をした人は一定期間(7年程度)保証人になることができません。この場合、以下の対策を立てることで解決できます。

1.保証人を自己破産していない親御さんになってもらう(夫が自己破産した場合、妻が保証人になる)

 

2.他の親族の方にお願いして保証人になってもらう

 

3.日本学生支援機構が扱っている機関保障制度を利用する(保証料金を支払えば、保証人をつけることなく奨学金が受けられる制度)

 

子供にかけていた学資保険は?

保険料はすぐに保険契約を解除して戻ってくるお金が20万円以上の場合は「資産」としてみなされます。
よって、破産申し立てをした本人が保険料を支払っていた場合は処分対象となります。
20万円未満であれば「資産」とみなされません。支払金が20万円以上かどうかがポイントになります。

親に膨大な借金があった時の相続問題

相続問題ですが、基本的にプラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続の対象になります。マイナスの財産である借金も相続財産です。

 

夫が死亡した場合、相続によって、妻や子供は自動的に夫の財産(借金を含む)を引き継ぐことになります。しかし、相続を放棄するかどうかは相続人の自由です。

 

プラスの財産よりもマイナスの財産が大きい場合は、相続を放棄することができます。相続放棄は難しい手続きはなく、家庭裁判所に申し入れ(民法938条)することで簡単に行えます。

 

ただし、相続が始まったと分かった時から3か月以内に申し入れしなければいけません。熟慮期間をしっかりと把握して相続放棄をする必要があります。

 

 

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