評価額50億円のIT社長が自己破産をした体験談

評価額50億円のIT社長が自己破産をした体験談

評価額50億円のIT会社を経営していましたが、自己破産しました
自己破産体験談

・性別:男性
・債務整理の方法:自己破産
・借金の原因経営悪化
・借金の状況:総額10億円
・自己破産後の借金:0円
・自己破産後の返済額:0円
・自己破産の手続き期間:4カ月
・自己破産の種類:管財事件
・弁護士費用:80万円

 

自己破産前

私は10年前に、一度自己破産をしています。当時、オーナー社長としてIT企業を経営しており、毎年黒字経営で、右肩上がりの業績を続けていました。このため、私が100%保有している自社株式の評価額は毎年拡大し続け、12年前には評価額が50億円を超えました。

 

私はここまで業績を拡大させた自分に褒美を与えたいと考えるようになり、自社株式を担保に入れて、会社のメインバンクから10億円の借金をして都内に豪邸を建築しました。

 

借入先はメインバンク1社で、金利は4%に設定され、毎月の返済額は約100万円です。私の社長としての報酬は月額300万円ですから、返済にはまったく問題がありません。

 

ところが、その翌年になり、会社の経営に暗雲が漂ってきました。それまでソフトウェアをライセンス販売していた会社が、製品が競合している別の会社からソフトウェアを購入するようになり、私の会社は売上高が半減してしまったのです。

 

売上高が半減してしまっては、当然、赤字決算となってしまいます。メインバンクの支店長からも面談を申し入れられ、これからの業績回復の見通しなどヒアリングをされ、仮に業績回復の可能性が乏しければ、担保に差し入れられている株式の評価額を減額せざるをえず、追加の担保を差し入れてもらうことになると言われました。

 

それ以来、私は眠れない日々が始まりました。

 

自己破産中

私は、なんとか経営を再建できるよう、自社製品のソフトウェアの新たな販売先開拓に努力しましたが、なかなか見つかりません。

 

もがいているうちに月日だけが過ぎていきました。そして、社員の給料減額や私を含めた役員報酬の減額措置も行いましたが、会社の赤字体質は2年経過しても変わりませんでした。

 

そして会社の株式の評価額は5億円にまで引き下げられてしまい、私は追加担保を差し入れる必要性に迫られました。しかし、もはや私には他に資産はありません。会社がビジネスで売上を生み出せない状況となってしまったので、社長報酬も無報酬になりました。

 

私は万策尽きて、会社には民事再生法を申請し、自分自身の自己破産も申し立てることにしました。手続きは、会社の顧問弁護士に依頼することにしました。弁護士には、オブザーバーとして毎月開催している取締役会に出席してもらっていましたので、会社の状況は把握してもらっていました。

 

そして、会社の評価額が0円相当にまで減額される見通しであることから、私自身が10億円の借金を返済することは不可能であることも理解してもらっていました。

 

顧問弁護士に委任状を提出し、「破産手続開始・免責許可申立書」「資産目録」「家計全体の状況」「債権者一覧表」を私が作成し、東京地方裁判所へ自己破産の申し立て手続きをしてもらいました。

 

そして、自己破産の申し立てをした日に、会社の社長職と、取締役を辞任しました。私はひとりの無職の市民となり、自己破産手続きを進めることになりました。私の場合は10億円の借金で自宅を建設しましたので、管財手続きを選択し、裁判所が破産管財人を選任しました。

 

結果的には4ヶ月後に、免責が決定されました。しかし新築したばかりの家を手放すことになりました。弁護士費用は、着手金と報奨金で合計80万円でした。

 

自己破産後の生活

自己破産したあとは債務金額は0円となりましたのでスッキリしましたが、自己破産したあとは、日々の生活は質素なものとなりました。

 

都内に賃貸マンションを借りて、知人が経営するIT企業で顧問として採用してもらいました。

 

一時は10億円もの借金返済の目途がたたず、精神状態は不安定になってしまいましたが、自己破産してからは落ち着いてきました。

 

ちなみに私が自己破産した事実は、家族以外には誰にも知られることはありませんでした。顧問弁護士がしっかりと守秘義務を守ってくれました。

 

また、家族は一時期いい夢を見させてもらったと言って、サバサバした様子でした。自己破産後は、知人の会社に顧問弁護士を紹介して、社外取締役のポストを紹介しました。顧問弁護士には恩義があるので、御礼を少しでもしたいと思ったのです。

 

 

 

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