自己破産をすると仕事はどうなる?会社から解雇される?
自己破産をすると仕事にどのような影響があるのか?以下の点をまとめていきます。
・自己破産すると解雇される可能性はあるのか?
・そもそも自己破産すると会社にその事実が知られてしまうの?
・消費者金融や銀行やカード会社や保険会社や公務員勤めの方は会社に官報チェックされることがある
・職業資格制限に要注意
・破産後に会社に債権者から取り立てされることはある?
自己破産すると解雇される可能性はあるのか?
結論からいうと会社は自己破産という理由で従業員を解雇することはできません。
労働者の解雇については労働契約法16条で定められています。
労働契約法16条企業側が解雇するだけの合理的な理由がない限り、労働者を解雇にはできないとなっています。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする
自己破産をしたとしてもそれを一般の方に知られることはなく、それによって企業イメージを下げることにもつながりません。そもそも就業規則には自己破産をすると解雇するということは書いていないですし、書いてあったとしても自己破産と労働力の提供ということは全く関係がないため、その就業規則は無効となります。
もし会社に自己破産をしたことが知られて、それが原因で解雇された場合は「不当解雇」に該当し、裁判所に解雇取り消し請求ができます。
実際に弁護士ドットコムで以下の質問があり現役の弁護士2名が辞める必要はないと回答しています。
【質問】支払いが多く生活も苦しくて自己破産しようかと思ってますが今の仕事はどうしたらいいのですか?辞めなくてはいけないのですか?自己破産をして、万が一会社にその事実が知られたケースでも、会社から解雇されることはないというのが答えになります。
【回答@】破産により従事できない一部の職業(保険募集人や宅建主任者,警備員など)は別として,通常の給与所得者であれば,仕事を辞める必要はありません。
【回答A】破産による資格制限がなければ職を辞することなく 再スタートをきることができます。
引用:弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/c_1/c_1036/c_1037/b_174383/)
そもそも自己破産すると会社にその事実が知られてしまうの?
そもそもの話ですが、自己破産をしたとしても会社にその事実が知られることはありません。原則会社には知られません。
自己破産をしたとしても弁護士や裁判所が職場に連絡をすることは一切ありません。自己破産をすると官報と呼ばれる広告紙にその判決が載ることになります。ただし官報の過去のデータを氏名検索するには「月額官報サービスに入会する」か「国立国会図書館で検索する」かのどちらかの方法しかありません。多忙な社会人がわざわざ国立国会図書館に出向いたり月額官報サービスに入って氏名検索するとは思えません。ですから原則は自己破産したとしても会社に知られることはないです。
ただし例外として「会社から借金をしているケース」と「お金に関わる仕事や公務員」は知られてしまう可能性があります。
会社からお金を借りることができる貸付金制度が会社によってはあるはずです。会社から借金をしているケースでは、自己破産ではすべての借金を平等に処理されることになりますから、会社の借金も一括処理されることになります。すると会社に自己破産をしたという通達がいくことになります。そこから知られることになります。
あとは「お金に関わる仕事や公務員」です。具体的には消費者金融やクレジットカード会社や銀行や保険会社や公務員です。この5つの業界については定期的に官報のチェックをしている可能性があります。信用が大事になるからです。すべての会社がチェックしているわけではありませんが、官報のチェックをする会社もあるようです。
ただし前述した通りそこから知られたとしても仕事が解雇されることはありません。おそらく一部の部署の一部の人間が知ることになるかもしれませんが、そこから社内に広まるということもないはずです。
このように自己破産したとしても原則会社に知られることはありませんが、「会社から借金しているケース」と「お金に関わる仕事や公的な仕事」に関しては知られてしまうことがあります。
職業資格制限に要注意
自己破産には職業資格制限が存在します。
以下の職業に就いている方は自己破産をすると、その手続き期間中(3ヵ月〜4カ月程度)はその職に就くことができません。
弁護士 公認会計士 税理士 弁理士 司法書士 公証人 行政書士 国家公安委員会委員 都道府県公安委員会委員 公正取引委員会委員 検察審査員 不動産鑑定士 土地家屋調査士 宅地建物取引業者 有価証券投資顧問業者 証券会社の外交員 商品取引所会員 貸金業者 警備員 古物商 質屋 生命保険募集員 損害保険代理店 日本銀行の役員 旅行業者 卸売業者 建設業者 建設工事紛争審査委員会委員 風俗営業者
ようは上記に該当する職の人は自己破産の手続き期間中は仕事ができないので会社にわけを話して一時的に休ませてもらう必要があります。これは免責決定がされた段階で解除されます。
特に自己破産において資格制限が問題となることが多い職業は「警備員」「生命保険の外交員(生命保険募集人)」「建設業」「宅地建物取引主任者(宅建)」などです。
職業資格制限に引っかかった人は職場に自己破産のことを話して休ませてもらうか、もしくは個人再生という手続きをするようにします。個人再生とは借金1/5に減額して、残りを3年で分割返済していく手続きとなります。個人再生には職業による制限は一切ないので上記の職の方でも職場に知られずに問題なく手続きが可能です。
破産後に会社に債権者から取り立てされることはある?
貸金業法21条で職場への取り立ては禁止されていますし、そもそも自己破産で免責許可されてから取り立てにくる行為は違法ですしそんなことをする民間の貸金業者はいません。そんなことをしたら罰せられて営業ができなくなります。
破産後に会社に債権者から連絡や取り立てがくるようなことはまずありません。
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