自己破産をする旅行には行けない?

自己破産をすると国内・海外旅行には行けない?

弁護士ドットコムでは以下の質問があり、現役の弁護士が以下の回答をしています。

Q:自己破産申請中は海外旅行には行けないのですか?今月末か来月には債務整理をしなければならない状況で弁護士先生に相談に行こうと考えています。躁鬱で前に働いていた職場を辞めて、二ヶ月前にやっと働きはじめました。職場には病気の事も話をして理解をしてもらって採用はしてもらいました。ただ、9月に社員旅行があると言われて、行き先はハワイらしく、自己破産をすると海外など出国できないと書いてありましたので、本当にそうなのか知りたいのですが。また行けないときに破産の話を職場にするのも嫌です。

※1月末の質問

 

A:破産手続中(裁判所に申立書を出した後の話)は,海外旅行に行く際には,原則として裁判所(実質的には破産管財人)の許可が必要です。
許可は比較的容易におりますので「出国できない」とは限りません。また,破産手続が終わった「後」や始まる「前」であれば,制限はありません。出国は自由です。(ただし破産申立て前に「自費で」海外旅行に行くのは,あまり印象がよくありません。海外旅行に行くだけのお金があるのならば,債権者への支払いに充てるべきだからです。)
今からすぐに弁護士に相談に行って破産の申立てを依頼すれば,よほどの困難事案でない限り,8月末までには破産に関する手続きを全て終えることは可能であろうと思います。来月と言わず,なるべく早く相談に行かれることをお勧めします。

 

弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/c_1/b_623476/)


自己破産後に国内旅行や海外旅行の制限がされることは一切ありません。旅行は自由にいくことができます。ただし自己破産の手続き期間中は裁判官の許可を得なければ国内旅行や海外旅行に行くことはできません。

 

破産法37条1項に「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない」という条文があります。破産者というのは申立てをしてから免責許可されるまでの債務者のことを差します。ようは申立てをしてから免責許可がされるまでの間は裁判所の許可がいるということです。

 

自己破産の手続き期間ですが、同時廃止の場合は3ヵ月〜4カ月程度となります。少額管財事件では4カ月〜半年程度、管財事件では半年〜1年程度です。

 

破産者に弁護士費用や予納金(裁判所に納めるお金)や生活費用を除いた財産が20万円以下のケースでは同時廃止となります。まとまった財産がないケースでは換金する手続きが必要ないため最も省略化された手続きとなります。

 

ギャンブルや浪費による借金で債務者の調査が必要なケースでは少額管財事件となります。債務者が不動産(土地や家)を持っているケースではその不動産を換金する手続きが必要なため管財事件となります。

 

同時廃止と管財事件どちらになるかの振り分けの基準について

 

これらの申し立てをしてから免責許可がされるまでの期間は国内旅行や海外旅行に行くには許可がいるということです。許可さえとれれば旅行にいくことができます。旅行にいく時は事前に担当の弁護士に相談します。弁護士が代理人となっているので弁護士に伝えれば、弁護士が裁判所に事情を話して許可を得てくれます。

 

パスポートには記載されない

自己破産をすると、海外旅行の制限を受けてしまうといううわさが流れているので、海外旅行や、国内旅行に行けないのではないかと思われがちです。

 

しかし、実際のところは、海外旅行は自由であり、制限を受けることはほとんどありません。また、自己破産者の家族も、自己破産は適用されませんので、自由に海外渡航をすることは可能です。

 

また、自己破産をしてしまった場合にも、パスポートには、自己破産をした記録は一切残りません。このため、免責決定となれば、その後は海外旅行も国内旅行も自由にできるといえるでしょう。

 

自己破産と海外旅行は、全く関係のないものです。いくつかのケースを除き、旅行の制限を受けることはないといっても過言ではありません。

 

自己破産するとクレジットカードは完全に持てない?クレジットカードの持てない海外旅行について

自己破産をすると、原則手持ちのクレジットカードはすべて担当の弁護士に提出します。弁護士がそれぞれのカード会社にハサミを入れて郵送します。破産後5年〜10年は信用情報機関に事故情報が載ります。いわゆるブラックリスト入りするので喪中はクレジットカードが持てません。

 

クレジットカードが持てない状態で海外旅行に行けるのかですが、支障はあるのですが、旅行自体は可能です。

 

基本は現地通貨をたくさん持ち歩き、それを使うという形になります。盗難には十分に気を付ける必要があります。国際キャッシュカードというものがあり、海外のATMでも日本の銀行口座のお金を引き出せます。それも持っておくと便利です。

 

レンタカーについてはクレジットカードが必須となります。一緒に旅行している相手方がクレジットカードを持っている場合はそれを使うなど対策が必要です。ホテルについてはクレジットカードがなくてもパスポートやVISAデビットカードで代用できるケースがあります。VISAデビットカードは自己破産をした方でも問題なく新規作成できるので1枚は持っておくようにします。

 

レンタカーのみクレジットカードがないと利用できませんが、それ以外なら現地通貨やパスポートやデビットカードでなんとかなります。