自己破産してもそのまま年金は受給し続けられる?
自己破産をすると年金は差し押さえされてしまうのかですが、国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金については差し押さえは禁止されています。
年金については差し押さえされることはありません。自己破産したとしても年金は継続して問題なく受け取ることができます。民事執行法に定められた差押禁止財産として定められています。根拠は以下の通りです。
国民年金法24条給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
厚生年金保険法41条
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
年金だけではなく生活保護費や児童手当についても差し押さえが禁止となっています。
・生活保護受給権(生活保護法58条)
・児童手当受給権(児童手当法15条)
自己破産時に年金を受け取る時の注意点
受け取る注意点があります。自己破産を弁護士に正式依頼した時、借金先の銀行口座が凍結、相殺されることになります。
たとえば多重債務しておりその中に三井住友銀行カードローンの借金があり、自己破産したとします。このケースでは三井住友銀行の銀行口座は弁護士に正式依頼して受忍通知が送られたタイミングで口座は凍結となります。残高分と借金分は相殺されることになります。この凍結期間は3カ月程度続きます。
もし三井住友銀行を年金受給の振込先に指定していた場合、凍結期間は年金が振りこまれたとしてもその銀行口座からお金が引き出せません。この点が注意が必要です。
あくまで借金をしていて借金先の銀行口座もしくは消費者金融のグループ経営している銀行口座のみが凍結となります。もし凍結される銀行を年金振込先にしている方は予め振込先を凍結されない銀行口座に変更しておく必要があります。
これについては弁護士に依頼した時に担当弁護士から最初に「〇〇銀行は凍結となる可能性あるのでお金を引き出しておいて振込先や引き落とし先にもし指定している場合は変更しておいてください」と注意があるのでそれ通りにするようにします。詳しくは以下をご覧ください。
高齢者の自己破産について
高齢者の方が借金が残って多重債務であるということがたまにあります。たとえばもう60代、70代といった方々です。
このぐらいの年代になりますと、仮に仕事をしても年収は思ったほど上がらないケースが多いので、若い世代と比べて、小さな借金金額でも自己破産を求められる可能性があります。
たとえば借金総額が100万円以下の場合でも、高齢者にとっては返済できないことがあるので、裁判所は支払い不能状態と判断して免責決定されることがあります。
または、借金の種類によっては、取り立てが厳しいわけではない場合には、自己破産はしなくていいのでは、と考える人もいます。
借金の時効は5年ですので、借金を放置して時効を待つという方法もあります。債権者は高齢者である場合、給料の差し押さえができませんので、財産がない人の場合にはあえて裁判等をして時効を中断するということもないからです。
ただし高齢者の方が借金があったまま亡くなった場合、子どもにその借金が相続されます。
相続に関しては、「相続の放棄」をすれば、借金は引き継がれずに終わるということになります。ですから、子供に迷惑がかかるということはありません。
高齢者の借金は、自己破産をするという方法の他に、時効を待つ、あるいは亡くなった場合には相続の放棄をするといった方法があるのです。
やはり一度専門家と相談して、適切なアドバイスをもらった方がよいでしょう。
・年金は差し押さえ禁止財となっている。差し押さえされることはない。
・自己破産をしても継続して年金の受給はできる
・高齢者の自己破産の場合、収入に限界があるので、借金総額が100万円程度でも破産できる可能性が高い
・高齢者の自己破産の場合、破産以外に、借金の時効を待つという方法もある。この場合、子どもは相続放棄できるので、身内に迷惑がかかることはない