自己破産をすると学資保険は解約になる?

自己破産をすると学資保険は解約になる?

自己破産とは債務者の財産をすべてお金に換えて債権者に平等分配する代わりにこれまでの借金は全額免除してもらう手続きとなります。

 

ただしすべての財産を回収されると当面の生活ができません。そのため自己破産をした場合でも一部の財産は手元に残せる制度になっています。これを自由財産と言います。たとえば99万円までの現金と生活に必要な財(冷蔵庫テレビ洗濯機など生活必需品)がこれにあたります。

 

学資保険はというと、仮に解約した場合の解約返戻金が20万円以下の場合は解約せずに継続して利用することができます。もし解約返戻金が20万円以上の場合はまとまった財産となりますので解約しないといけません。

 

ただし自由財産の拡張という方法で手元に残せる可能性があります。自由財産の拡張というのは、自由財産でなくても、自由財産の枠を拡張して、破産者の手元に残してもらう、という制度です。学資保険もこの枠に入れることで維持できる可能性があります。

 

ただし自由財産の拡張についてはそれぞれの地方裁判所によって基準は違うので必ず弁護士と相談する必要があります。

 

ただ、現金や預金、保険、自動車などの拡張適格財産については、すべてを合わせて総額99万円まででしたら、自由財産として認めるという裁判所が多いです。

 

実際に弁護士ドットコムでは以下の質問があり、現役の弁護士2名が以下の回答をしています。

【質問】

自己破産で子供の学資保険を残す事は可能なのでしょうか?現在の解約金は約140万です

 

【回答@】
自由財産として扱ってもらえれば可能ですが、140万円は自由財産とするには金額が大きすぎます。
自己破産をしながら、学資保険を残すには140万円を現金で積んで、財団に入れる方法がありえます。

 

【回答A】
保険解約返戻金額の一部を自由財産拡張の対象とし,その差額のみを現金で財団組入れすることで,管財人が財団放棄するという運用もあり得ますが,それが可能かどうかは各地の裁判所の運用基準によりますので,地元の裁判所の運用基準に詳しい弁護士にきちんと確認してもらってください。

 

引用:弁護士ドットコム(https://www.bengo4.com/c_1/c_1036/c_1037/b_598983/)


自由財産の拡張をして、自由財産の枠に学資保険を入れるという方法がありますが、あまりに解約返戻金が大きい場合(99万円〜)は、解約返戻金の金額分を現金で破産財団に入れる(払う)ことで手元に残す方法があります。破産財団に入れられたお金は債権者に平等に分配されることになります。

 

学資保険をどうしても残したいという場合には、弁護士や司法書士に初回相談でしっかりとそのことについて伝え、それを軸に手続きをしてもらうとよいです。

子供名義の学資保険なら解約されない?

自己破産をした場合、子供名義の学資保険にかけていることもあります。これは、子供名義の財産に該当するので、自己破産の対象にならないのでは?と考える方もいます。

 

子供名義であるということから、財産としては認められないと思われがちですし、そのまま残しておけるようなイメージもあります。しかし、実際のところ、生命保険と同様に、学資保険も財産とみなされてしまうため、原則的には解約されることになります。

 

子供名義で学資保険が組まれてたとしても実質的には親がお金の積み立てをしているため、これは親の財産として扱われます。誰名義であるとということと、実質的に誰が積立てているかという点も見られることになります。

 

自己破産をした場合、学資保険は解約しないといけない?まとめ

・たとえ子供名義の学資保険であっても実質的に積み立てているのは親なので、親の財産として使われる

 

・解約返戻金が20万円を超えた場合、学資保険は解約しないといけない

 

・学資保険が生活する上でどうしても必要な場合は、由財産の拡張制度を使うことで、解約返戻金が20万円を超えた場合でも残せる可能性がある。もしくは返戻金分を財団に支払うことで残せるケースがある