任意整理をしても借金は減らないことはある?

任意整理をしても借金が減らない2つのケース!

任意整理をしても借金は減らないことはある?

2008年以前からの借金は任意整理で大幅に減額できる可能性がある

任意整理をして借金が減額されるのは、利息制限法による上限金利が、年利18%(元金10万以上100万未満の場合)を超えるケースです。(元金が10万円未満は年20%、100万以上は年15%)延滞の損害金は、この1.46倍までとなっています。

 

2008年以前はグレーゾーン金利という年利18%を超える金利で貸し付けが行われていました。ですから、2008年以前にした借金は大幅に減額される可能性があります。

 

現在の法定利息は年利18%と定められていますが、2008年以前は消費者金融は20%〜29.2%という法定利息から大きく外れて利息を取っていました。

 

この金利をグレーゾーン金利といいますが、これが2006年の最高裁の判決で否定され、同時に貸金業法の改正が国会に提出されました。2008年から段階的に貸金業法の改正が実施されました。

 

過去にグレーゾーン金利で多くの利息を取っていた貸金業者に対して、過払い金という形で法定利息を元にした本来支払うべき利息に引き直し計算をし、とりすぎていた借金の回収が可能です。

 

多くの場合、2008年より前に借りた借金はグレーゾーン金利ですので、回収が可能です。

 

任意整理をしても借金が大きく減らない2つのケース

2008年以前に借りた借金は過払い金が発生する可能性がありますが、それより後に借りた借金は法定利息におさまっていることが殆どです。

 

この場合、引き直し計算をしても、借金が大きく減らないケースがほとんどです。では具体的に借金が大きく減らない2つケースを解説していきます。

 

@利息制限法の上限金利を大きく上回らない金利である場合

上記で説明した通り、法定利息の上限金利を大きく上回らない金利である場合、引き直し計算をしても借金は減りません。また、遅延損害金が発生してない場合も借金は大きく減りません。

 

任意整理では法定利息を超えている取りすぎていた利息を過払い金として回収し、遅延損害金はカットすることができます。それらがない場合は借金の減額は難しいです。ただし、借金は減らせなくても将来利息分はカットできます。

 

貸金業者が和解に応じると、その後利息は一切発生しません。いまある元金を単純に36分割した金額(1カ月の返済金額)を3年かけて返済していくことになります。

 

3年では返済ができないという場合は4年、5年間の返済期間の延長も、貸金業者が応じてくれれば可能です。

 

法定利息内の借金であっても任意整理することで、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の引き延ばしで、月々の返済額は小さくなるので、そうすることで返済の目途は立ちます。

 

A貸し付け期間が短い場合

貸付期間が1年以内であるといったように、短い期間ですと、そもそも貸金業者が任意整理に応じてくれない可能性があります。

 

任意整理は返済期間が長ければ長いほど効果があり、和解に応じてくれる可能性が高いです。貸付期間が極端に短い借金は、任意整理の対象から外す、という方法を取ります。

 

※こちらについては貸付期間が短い場合でも貸金業者によっては任意整理に応じてくれることがあります。たとえば4カ月以内の借入であっても任意整理が可能な場合があります。その交渉は代理人弁護士(司法書士)が行い、最終的に決めるのは債権者(貸した側)となります。

 

 

 

任意整理で借金が減らないと手続きする効果はない?

決してそんなことはありません。たとえば合計200万円(5社からそれぞれ年17.8%)の借金をしている場合、任意整理をせずに通常通り返済(60回払い)すると支払い総額は3,034,136円となります。つまりトータルで1,034,136円の利息が発生するのです。

 

この借金を任意整理した場合、利息は完全にストップしますから、元本の200万円を3年(36回払い)もしくは5年(60回払い)で返済していきます。弁護士費用は1件5万円ほどかかりますから5件ですと約25万円かかります。ようは弁護士費用約25万円払えば利息を止めることができ、3年〜5年かけて分割返済ができるということです。

 

弁護士(司法書士)費用も当然分割支払いが可能です。この場合の支払い総額は225万円となります。返済計画は以下のようになります。※弁護士費用を含む

  • 3年計画(36回払い)で返済する場合、1ヵ月の返済額は62500円
  • 4年計画(48回払い)で返済する場合、1ヵ月の返済額は46875円
  • 5年計画(60回払い)で返済する場合、1ヵ月の返済額は37500円

トータルで考えた場合、元本自体の減額がなくても、任意整理で利息0%にするのは大きなメリットがあります。

 

今現在の借金の殆どは法定利息内におさまっているので過払い金が発生することはありません。ただし任意整理には以下のメリットがあります。

  • 弁護士や司法書士に依頼した時点で各債権者に受任通知が送られ、これまでの借金返済は完全にストップする(取り立てされなくなる)
  • 同居人(一緒に暮らしている配偶者や家族)にすら知られずに手続きが可能
  • 受任通知が送られて返済が止まっている間に弁護士費用を分割支払いする(弁護士費用は一括で用意する必要はない)
  • 任意整理の対象先は自由に選べるので、車のローンや住宅ローンは手をつけないことで、ローン支払い中の車や持家は手放さなくてよい
  • 交渉をして和解が成立した時点で利息は停止する(年0%になる)
  • 利息は発生しないので毎月返済した分がそのまま元本から減っていく、あとどれだけ返済したら完済するかわかるからゴールが見える(利息地獄からの解放)
  • 3年〜5年で返済期間を調整することで毎月返済できる額まで毎月の返済額を調整できる

ただし任意整理はどの程度借金が減るのかは交渉次第ですので、明確にどのような返済計画になるのかはやってみるまでわかりません。弁護士や司法書士の初回相談である程度の見積もりが出るので一度相談してみるとよいです。

 

任意整理をしても借金は減らないことはある?まとめ

・2008年以前に借りた借金に関しては、法定利息の上限金利を上回っている可能性があるので、過払い金として任意整理で大きく借金減額できる可能性がある

 

・法定利息内(年利18%以下)の借金は任意整理をしても借金が減らない可能性が高い。ただしこの場合も将来利息や遅延損害金はカットできるので、月々の返済額を小さくすることが可能