任意整理に失敗する

任意整理に失敗するケースについて

任意整理に失敗してしまう7つのケースについて解説します。予め失敗例を把握しておけば自分が任意整理する時は失敗が防げるはずです。失敗するケースは以下の通りです。詳しく見ていきましょう。

  1. 継続した収入がない(返済能力がない)ケース
  2. 140万円を超える案件を司法書士に依頼したケース
  3. 期限日までに書類を提出しなかったり嘘の情報を伝えたケース
  4. 債権者が話合いに応じないケース
  5. 一回も支払っていない借金があるケース
  6. 給与差押えされたケース
  7. 返済計画通り返済できないケース

債権者=貸した側
債務者=借りた側

 

任意整理に失敗する7つのケースについて

@継続した収入がない(返済能力がない)ケース
任意整理で和解成立後は元本分を3年〜5年かけて分割返済していく必要があります。そのため「継続して安定した収入がある方」でないと任意整理は利用できません。任意整理をする前に源泉徴収票を弁護士に提出します。弁護士やその書類といまの収入をみて、任意整理が可能か判断します。そもそも返済していくことが前提にある手続きですので、安定した収入は必要です。

 

正社員の方でしたら問題ないです。フリーターや派遣社員や自営業の方でも毎月収入が入っている方でしたら問題ありません。無職の方はまずは就職活動をして、仕事に就く必要があります。無職の方は原則利用できません。

 

A140万円を超える案件を司法書士に依頼したケース
任意整理の金額があまりにも大きすぎる場合、司法書士に依頼に依頼することができません。司法書士の場合は、依頼することができる金額の上限が決められています。借金が140万円を超える場合は、はじめから弁護士に依頼することが必要となりますので、頭に入れておきましょう。

 

ただしこの140万円というのは「一件あたりの借金総額」です。任意整理では一件一件個別交渉をしていく手続きですが、1件の借金が140万円を超えるケースでは司法書士に依頼できません。たとえば、A社から90万円、B社から60万円、C社から100万円の借金をしている場合では借金総額は250万円ですが、一件あたりの借金は最高でC社の100万円です。

 

「一件あたりの総額が140万円を超えていない」のでこのケースでは司法書士に依頼可能です。司法書士に依頼すると費用は安くなることが多いです。1社あたり140万円を超える借金を任意整理する場合は弁護士に依頼する必要があります。

 

B期限日までに書類を提出しなかったり嘘の情報を伝えたケース
任意整理をするには弁護士や司法書士に依頼して代理人になってもらう必要があります。この時、必要書類を提出したり借金や生活のことについて聞かれるので、嘘偽りなくすべて伝える必要があります。

 

ここで話したことを元にして引き直し計算をしたり、返済計画を立てていくので、その情報に誤りがあると、後から計画が狂ってしまいます。債務者の中には借金をした理由について後ろめたさが邪魔をして小さな嘘をついてしまうことがありますが、小さなうそをつくとあとで整合性を取るのに大変ですし、そういった嘘もあとから取引履歴を開示した時に知られてしまいます。

 

最初から借金先や借金の理由についてすべて素直に話す必要があります。弁護士や司法書士は味方となって活動してくれます。信頼関係で成り立つことですので、期限日までに書類を集めたり聞かれたことは素直に話すようにします。依頼したもののその後の態度があまりに酷いと弁護士に辞任されるケースもあるので注意が必要です。

 

C債権者が話合いに応じないケース
中には債務整理に応じてくれない債権者も存在します。個人再生や自己破産は裁判所を介しての手続きとなるので、債務者の借金先は平等に法的に処理されることになります。小規模個人再生の手続きを除いては、債権者に拒否する権利はありません。裁判官が認めたら強制的に借金は減額されることになります。

 

一方任意整理はあくまで裁判所を介さずに、当事者同士での話し合いの中で折り合いをつけていきます。弁護士や司法書士が代理人となって債権者と粘り強く交渉をしてくれます。ただし中には任意整理に応じない債権者も存在します。こういったケースでも自己破産を引き合いに出すことで応じてくれることが殆どです。債権者が最も恐れるのは自己破産で、自己破産をされたら借金の回収は図れません。それなら任意整理で元本分だけでも回収しようと考えます。

 

債務整理に強い弁護士や司法書士に依頼すると任意整理の過去のデータが集まっていますので、スムーズに任意整理の交渉を進めることができます。そういった事務所では初回相談の段階であるどの程度減額できるのかの見積もりがでますので、一度相談してみるとよいです。

 

D一回も支払っていない借金があるケース
一般的に一回も支払っていない債権者や借入をして3ヵ月未満の債権者などは任意整理が難しいと言われています。ただしこれらの業者に対して絶対に任意整理できないと言われたらそうではありません。最終的に応じてくれるかどうかは債権者の判断となります。

 

任意整理に応じない場合自己破産に変更されるケースもあるので、それなら任意整理でとどめておいた方がよいと考える債権者もいます。
ただしもし応じてくれそうにない場合は対象から外せばよいだけですので、大きな問題とはなりません。

 

 

 

E給与差押えされたケース
任意整理を弁護士(司法書士)に依頼する場合、まず着手金を支払わないといけません。着手金は1社あたり3万〜4万が相場です。その費用を一括で用意するのは困難ですので、多くのケースで分割払いとなります。ようは弁護士に依頼するまでに何カ月かかかることがあるのです。

 

多くの債権者はその期間待ってくれますが、せっかちな債権者だと強制執行を起こすことがあります。もし債権者に職場を特定されているケース(どこで働いているのか明確に知られている)では給与差し押さえされる可能性が高いです。給与差し押さえをされると職場に連絡がいき、給料の何割かが債権者の元にいきます。弁護士に依頼した時点で債権者との連絡はすべて代理人弁護士が行います。

 

多くのケースで代理人弁護士が訴訟や強制執行されないように粘り強く交渉をしてくれます。仮に訴訟を起こされたケースでも弁護士が頑張ってくれて訴訟取り消しにしてもらえるケースもあります。ですから弁護士や司法書士が代理人となっているケースでは強制執行されることはありません。

 

ただしあまりに弁護士費用の支払いに時間がかかり、任意整理を依頼して和解が成立するまでの期間がのびると、強制執行される可能性も0ではないので注意が必要です。これについては債権者によって「〇社は訴訟してきやすい」などデータがありますので、やはり債務整理の業務中心の事務所に依頼するのがよいです。

 

F返済計画通り返済できないケース
任意整理での失敗の多くがこのケースだと思います。前述した通り和解が成立すると翌月から3年〜5年かけて返済計画通り返済していきます。すべて返済し終えてはじめて完済となります。10人に3人は返済計画通り返済できず、途中で失敗していると言われています。

 

任意整理では2回以上延滞すると和解契約は破棄となり、一括返済を求められます。1回の滞納でしたら事前連絡で許してもらえる可能性が高いですが、2回以上の滞納は許されないのです。任意整理の途中の返済で失敗し、その後自己破産に移行するケースというのは多いです。

 

任意整理の返済途中で支払えなくなってしまうケースは主に以下の3つです。
・買い物依存症やギャンブル依存症が再発した
・返済計画に無理があり毎月キツキツの状態で破たんした
・思わぬ病気やリストラにあった

 

買い物依存症やギャンブル依存症が再発して出費が増えて任意整理に失敗するケースがあります。もともと返済計画に無理があったケースもあります。たとえば毎月返済に回せるお金が「月5万円」だった場合、返済計画で毎月5万円必要ですと、毎月カツカツです。それを3年間も続けるのは困難です。

 

3年のうちで何回かは思わぬ出費が重なることがあるはずです。冠婚葬祭(友人の結婚式など)や家電が同時に壊れたり車検や部屋の更新料金や通院費用など。

 

返済計画は必ずゆとりを持たせる必要があります。無理のない返済計画を立ててもらった方がよいです。無理のない返済計画を立ててもらい、その間にコツコツ貯金をしておくのが好ましいです。任意整理も繰り上げ一括返済が可能ですので、元本分の貯金が貯まれば一括返済ができます。

 

返済計画については弁護士や司法書士が主導で作成していきますが、意見も尊重されるので、できるだけ余裕のある計画を作るとよいでしょう。任意整理は和解が成立したらいいわけではなく、その後減額された借金を3年かけて完済してはじめて完了となります。その点は頭に入れておく必要があります。

 

任意整理を成功されるポイントは「債権者に振込みをするタイミング」です。毎月の債権者への返済方法は主に「弁護士事務所に代理で引き落としをしてもらう」と「自分でそれぞれの債権者の銀行口座に振り込みをする」の2つがあります。弁護士事務所に代理で引き落としも可能なのですが手数料が千円程度毎月かかります。手数料が高いので自分で振込みした方がよいです。

 

振りこむタイミングですが、必ず給料日の昼休みに振込み返済をするようにします。そうすると給料は毎月の任意整理の返済分を差し引いた分が残ります。あとはその残りのお金で生活します。「給料日に必ず振込みをする」というルールを作っておくと滞納することはなくなります。