銀行のカードローンで作った借金は任意整理できる?
銀行カードローンを任意整理する時の2つの注意点
銀行のカードローンも任意整理ができるのかですが、当然可能です。
銀行のカードローンの借金をしている方はそれだけでなく他の借金もしている方が多いです。たとえば最初は消費者金融やクレジットカードで借金を増やして、その後銀行のカードローンで一本にまとめたとか、一本化に失敗して借金を増やしたケースもあります。
銀行の借金は総量規制の対象外ですので、それが原因で年収以上の借金を抱えてしまったケースもあります。この場合、利息が重大な問題となり1ヵ月単位でどんどん増えて利息分の返済だけで追いつかないケースがあります。この場合任意整理をすると利息は停止し、毎月の返済額の調整も可能ですので、元本分のみ返済できるようになり、返済の目途が立つようになります。
消費者金融やクレジットカードの借金の利息は一般的に年18%〜年15%と高いですが、銀行のカードローンは年12%〜年6%と低利息となっていることがあります。この場合の任意整理ですが、将来利息をカットするということになります。ようは代理人が交渉をして和解が成立すれば多くのケースで利息は年0%になります。元本分だけを3年〜5年かけて分割返済するという形です。返済期間は現在の経済状況と見合わせて返済可能な額を基準に決められます。
銀行のカードローンを任意整理する場合の注意点は2点あります。以下の通りです。
- 銀行は必ず保証会社を付けており、銀行カードローンを任意整理すると保証会社を巻き込む形で任意整理することになる
- 銀行のカードローンを任意整理の対象に入れる場合、予めその対象の銀行口座からお金を下しておくこと
消費者金融と大手銀行というのは密接な関わり合いを持っています。大手銀行の傘下として消費者金融を経営しているケースやグループ経営しているケースがあります。たとえば三菱UFJ銀行とアコムはグループ経営しており、三菱UFJ銀行の保証会社はアコムです。
銀行のカードローンには保証会社がついており、受任通知が銀行に届いた段階で、銀行は保証会社に代位弁済してもらう準備に入ります。この段階で銀行はカードローンの解約手続きに入ります。
その後は保証会社が債権者という立場になるので、代理人弁護士(司法書士)はその保証会社と和解交渉を行っていきます。和解成立後は保証会社へ返済していくことになります。
例ですと、三菱UFJ銀行のカードローン(バンクイック)を任意整理すると、アコムが保証会社ですので、アコムと和解交渉して、和解後はアコムに分割返済していくことになるのです。もしアコムに対しても借金をしている場合、三菱UFJ銀行のカードローンを任意整理するとアコムの借金も巻き込まれる形で任意整理することになります。
両方一緒に任意整理しようとしていた場合は問題ないですが、任意整理の対象を選んで手続きしようとしていた場合、強制的に保証会社は巻き込まれて任意整理の対象に入るので注意が必要です。
いま多重債務をしておりすべての借金を任意整理の対象に入れるケースでも問題になりません。もし巻き込みは避けたい場合は銀行カードローンの保証会社を調べておく必要があります。大手の銀行と保証会社の関係は以下の通りです。
カードローン名 保証会社名
- 三菱UFJ銀行カードローン 「バンクイック」→アコム株式会社
- 三井住友銀行カードローン→SMBCコンシューマーファイナンス(旧プロミス株式会社
- みずほ銀行カードローン→オリエントコーポレーション
- みずほ銀行カードローンみずほMy Wing→オリエントコーポレーション
- りそな銀行カードローン 「プレミアムカードローン」→オリックス・クレジット株式会社
- りそな銀行カードローン 「りそなクイックカードローン」→オリックス・クレジット株式会社
- じぶん銀行カードローン 「じぶんローン」→アコム株式会社
- セブン銀行カードローン→アコム株式会社
- 横浜銀行カードローン→SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
- 東京スター銀行カードローン 「スターカードローン」→新生フィナンシャル株式会社
- オリックス銀行カードローン→オリックス・クレジット株式会社
- ジャパンネット銀行カードローン→SMBCコンシューマーファイナンス(旧プロミス株式会社)
- 楽天銀行カードローン 「楽天銀行スーパーローン」→楽天KC
- 新生銀行カードローン 「レイク」→新生フィナンシャル株式会社
- 新生銀行カードローン 「レディース レイク」→新生フィナンシャル株式会社
- 住信sbiネット銀行カードローン 「ミスターカードローン」→SMBCコンシューマーファイナンス
- ソニー銀行カードローン→アコム株式会社
- イオン銀行カードローン 「カードローンBIG」→イオンクレジットサービス
- 大和ネクスト銀行カードローン 「フリーローン」→株式会社ジェーシービー
地方銀行と保証会社の関係は以下のURLでまとめられているので確認してみるとよいです。
銀行カードローンの保証会社を一覧化(https://zeniemon.jp/162.html)
もう一つの注意点はもし任意整理の対象先の銀行の口座を持っている場合、その口座の残高を引き出しておくことです。一般的に銀行のカードローンについて受任通知が送られると、銀行はその時点で口座を凍結し、その時点での残高とカードローンの残高とが相殺され、残額について保証会社から代位弁済を受けて口座が開放される、という流れになります。
たとえば三菱UFJ銀行のカードローンを任意整理した場合、三菱UFJ銀行の口座は凍結となって、残高はすべて相殺されてしまいます。ですから、弁護士に依頼した時点で弁護士から「〇〇銀行の口座からはすぐに残高をおろしておいてくださいね」と言われるのでそれ通りすぐにお金をおろすようにします。
もしその口座を支払いの引き落としや給料の振込み先に指定している場合は先に変更しておくようにします。
銀行のカードローンの任意整理の具体例
銀行カードローンを任意整理するとどの程度減額されるかですが、多くのケースで「将来利息はカットされる(年0%になる)」です。たとえば消費者金融の借金は利息が高いため場合によっては過払い金が発生することもありますが、銀行のカードローンは殆どのケースで法定利息におさまっています。高くても年12%程度ですので、過払い金はまず発生しません。
この場合将来利息はカットしてもらう可能性が高いです。司法書士や弁護士と初回相談して、見積もりをだして、十分効果のある借金のみ任意整理してもらいます。本来でしたら年12%以下の借金は利息はそこまで大きな問題となりませんが、銀行カードローンの場合元本が大きいので、その点が大きいです。
たとえば、銀行のカードローンで借金120万円(年12%)をしているとします。この借金を任意整理した場合、費用としては1社あたり4万円〜5万円かかります。
この銀行のカードローンを通常通り返済するとこのようになります。5年間(60)回払いで毎月26,693円ずつ返済していくと、完済までにトータルで401,565円利息が発生します(支払い総額は1,601,565円)。
※三井住友銀行の返済シミュレーションでシミュレーションした結果です。
一方、任意整理した場合は、以下のようになります(和解契約が成立し、将来利息がストップされた)。
※弁護士費用5万円も含んだ額です。支払い総額は弁護士費用と合わせて約125万円です。
3年計画の場合は毎月3.4万円支払えば36回払いで完済
4年計画の場合は毎月2.6万円支払えば48回払いで完済
5年計画の場合は毎月2万円支払えば60回払いで完済
任意整理では、これまでに借金の貸し借りをしていた歴が長ければ長いほど任意整理しやすくなります。逆に歴が浅すぎると任意整理に応じてくれないケースがあります。
実際は銀行のカードローンだけでなく、他の借金もしているケースがあると思うので、こう簡単な数値にはならないと思います。専門家に相談すると初回相談で見積りがでるので、それを参考にするとよいと思います。
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