親が債務整理した場合、子供は奨学金を利用できるのか?
子供が奨学金を借りるための条件
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金というのは「育英会」非営利団体が行っているので、金融機関が行っている個人貸付とは法律上異なります。
金融機関や貸金業者にお金を借りる場合必ず審査がありますが、奨学金では貸金業者がするような厳密な審査はありません。以前は連帯保証人の身元や債務履歴の情報を確認することはありませんでした。
しかし近年、自己破産や個人再生による回収不能が増えており、審査は厳しくなっています。奨学金を利用するには「人的保証(保証人と連帯保証人が必要)」と「機関保証(毎月一定額保証料金を支払うことで保証会社を付けることができる)」の2つがあります。人的保証を利用できない場合は機関保証を選択することで、親が自己破産をしていても問題なく子は奨学金を利用することができます。
まずは人的保証から解説します。人的保証には連帯保証人と保証人が必要です
審査の優先順位は連帯保証人>保証人で、保証人の審査は非常に甘いです。保証人は契約者あるいは連帯保証人が延滞した場合や死亡した場合、法的宣言を行った場合(自己破産や民事再生)の最後の肩代わりする人です。
保証人は、契約者と連帯保証人の身分を証明するための存在でもあります。保証人は身分証明の位置づけのため、債務整理者でも審査は通ります。一方、連帯保証人は、契約者が支払い不能になった時に肩代わりをするため、審査は厳しくなっています。
自己破産をした場合最大10年間ブラックリストとしてデータが保管されます。その間は連帯保証人になることができません。
過去に債務整理をしたことがある場合、「連帯保証人」になるのは大変難しいです。この場合、他に対策を立てていかなければいけません。
連帯保証人は奨学生本人が支払いができなくなった時に、代わりに奨学金の支払いをすることになります。
保証人は奨学生本人や連帯保証人が返還できなくなった場合、奨学生本人に代わって返還する人です
親に債務整理歴がある場合の対策方法
連帯保証人を債務整理していない親御さんになってもらう
原則として、連帯保証人には父母・兄弟姉妹又はおじ・おば等がなることができます。たとえば、夫が債務整理をしている場合は、連帯保証人には妻がなる。
両親ともに債務整理している場合は、ほかの親族にお願いして連帯保証人になってもらえばよいでしょう。債務整理をしている人は連帯保証人にはなれませんが、保証人になることはできます。
連帯保証人を債務整理をしていない親御さんになってもらうことで、子供は奨学金を受けることができます。
原則として、父母・兄弟姉妹又はおじ・おば等です。
原則として4親等以内の親族のうちで奨学生本人及び連帯保証人と別生計の人です。
日本学生支援機構が扱っている機関保障制度を利用する
親族内で連帯保証人と保証人がつけられない場合、機関保障制度を利用する手もあります。
機関保障制度とは、保証機関が連帯保証することで連帯保証人と保証人をつけなくても奨学金が受けられるようになる制度です。保証料金を支払えば、連帯保証人、保証人をつけることなく奨学金が受けられます。担保として保証会社が付きますので、もし借り主が奨学金を返済できなくなった場合は、保証会社が肩代わりをすることになります。
保証料の月額目安:(借りる月額と年数により変わります)
第一種:1,300円〜3,100円
第二種:1,800円〜6,900円
貸与金額が上がるほど保証料はあがっていきます。目安として貸与月額が30,000円で保険料は月額1,000円程度、貸付月額が100,000円で5,000円程度です。保険料は毎月の奨学金から差し引かれます。(手数料がかからない)
【仕組み】
本人が奨学金を申し込む時に、同時に機関保障制度の申し込みも行います。申し込みを行うと日本国際教育機構が代理保障人となって、奨学金が利用できるようになります。
1.本人が学校を通じて奨学金の申込みと機関保証の申込みをします。
「保証依頼書・保証料支払依頼書」を記入し、提出します。
2.日本国際教育機構が奨学金の保証をすることになり、機構が奨学生の採用を決定します。
3.毎月の奨学金の貸与額から保証料が 差し引かれて奨学生の口座に振り込まれます。
差し引かれた保証料は、機構から日本国際教育機構に送金されます。
・日本学生支援機構の奨学金を利用するには「人的保証」か「機関保証」どちらか選択する
・人的保証では「連帯保証人」と「保証人」が必要
・債務整理をした者は保証人になることはできるが連帯保証人になることはできない
・連帯保証人を債務整理をしていない親御さんになってもらうか、機関保証を選択することで、親が債務整理をしていても子供は奨学金を借りることができる
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