取引履歴の開示請求の方法と注意点
取引履歴の請求方法
【質問】
消費者金融から借り入れたお金が返せそうにないので、債務整理をしようと思うのですが、借金総額、借り入れ日時、利息、借り入れ回数が曖昧です。契約書は紛失してしまって手元にないので取引履歴を請求したいと思います。
取引履歴は、過払い請求をするとなった時のことを考え、文章できちんとすべきなのか、電話や窓口で受け取ったらいいのか、どちらがよいでしょうか。取引履歴を請求する方法と注意点について教えてください。
【回答】
取引履歴は「これまでの貸し借り情報がすべて記載された書類」でこれを見るといつ契約して、いつどれだけ借り、いつどれだけ返済したか全てわかります。債務整理をする時は、必ず取引履歴を開示し、この情報を元にして最適な借金方法を選択していくことになります。
取引履歴の請求方法ですが、大きくわけて2つの方法があります。電話で請求するか、請求書を郵送するか、です。まずは、利用している貸金業者がどちらの方法を取っているかHPを見て確認してみましょう。それが面倒な人は電話で直接問い合わせてみるとよいでしょう。会社の番号にかけると担当者に回してくれます。
電話での請求の場合「取引履歴が欲しいので、開示をお願いします」といえば伝わります。理由を聞かれた場合、「過払い金のために必要だから」「契約書を無くしてしまって、借金の現状が知りたい」と素直に言えば応じてくれます。
取引履歴を請求することは珍しいことではなく、多くの人がしていることです。貸金業者も何万人という人を相手にしてきているので安心してください。電話で請求すると「書面でお願いします」と言われることがありますが、その場合、請求書を郵送しましょう。
請求書での請求方法ですが、会社によってはHP上に取引履歴の開示請求する書式を用意しています。それをプリントアウトして記入、郵送すればOKです。
もし、開示請求する書式がどこにもない場合、以下のように書いて郵送しましょう。郵送する時、本人確認のために運転免許証やパスポートなどのコピーが必要ですので、同封してください。
業者によって違いますが、早くて4日、遅くても1週間程度で取引履歴が届きます。
表題『取引履歴開示請求書』****株式会社御中
・開示請求日 **年**月**日
・氏名**** 印
・生年月日 昭和**年**月**日
・会員番号 *******
・電話番号 ***−***−****
・郵便番号 〒***−****
・住 所 ***************
・開示を求める文書 貴社と私との金銭消費貸借契約にかかる貸付当初より現在に至るまでの取引経過の全部
・開示を求める理由 貴社との取引における残高を確認するため
家族に知られずに取引履歴を請求したい場合は?
家族に内緒で債務整理をしている場合、取引履歴を請求していることを知られたくないと思います。家族に知られずに取引履歴の請求はできるのでしょうか?
方法は2つあります。1つ目は、受け取りを店頭窓口で行うことです。業者によっては、受け渡し方法が店頭窓口と郵送を選ぶことができます。
郵送を選んでしまうと当然ですが、書面での発行ですから自宅に郵送されます。取引履歴は本人限定郵便ですので、本人以外が受け取ることはできません。
在宅中で本人が受け取れた場合はよいのですが、本人不在の場合は、不在票が届きます。
不在票や受取票の送り主は借金をしている貸金業者からですから、そこでバレてしまう可能性があります。店頭窓口で受け取りができる場合、そちらを選択することが確実です。
2つ目の方法は専門家に依頼してしまうことです。専門家に債務整理を依頼すると、専門家は各業者から過去の取引履歴を取り寄せします。
専門家に依頼した時から、弁護士は代理人となって債務整理に着目してくれます。取引履歴は弁護士事務所に届くので、知人家族に知られることはありません。
取引履歴が届くと、そこで引き直し計算をし、債務整理を進めてくれます。プライバシーは最大限配慮してくれるので、専門家から周囲に知られることはありません。
依頼前に行う無料相談は契約書があれば行えますし、もしなくてもある程度の借金額と借り入れ先がわかれば相談を受けてもらうことができます。
そこで「周囲に知られずに債務整理したい」と伝えると、弁護士はそこを尊重し、債務整理してくれます。弁護士には依頼人の情報を守る義務があります。家族に知られたくない場合、はじめから専門家に依頼しておくのも一つの手です。
取引履歴の請求を拒否された場合
債務整理の手続きを行う際、これまでの取引の詳細を知るために取引履歴は必要です。
2005年7月の最高裁判所の判決によって貸金業者には取引履歴の請求に応じる義務があると認められました。この判決によって、取引履歴を拒否する業者は激減しましたが、それでも再三にわたる開示請求に応じない業者はいます。
税法上の帳簿の保存期間は7年間、商業帳簿の保存期間は10年間と定められています。それを理由に、以前の取引履歴は破棄したと主張する業者がいます。
取引が7年以内であれば、大抵の業者は請求に応じてくれますが、それでもなかには5年までしか開示しないという、不誠実な業者がいます。
このような場合は、特別な対応が必要です。借り入れ先が取引履歴の開示を拒否する場合は、行政機関の各都道府県の貸金業協会などに行政指導、行政処分を求める上申書を提出して、取引履歴の開示を強く主張しましょう。
取引履歴を開示しないことは違法行為ですから、見つかり次第行政処分を受けます。監督機関から指導を受けることは、会社の評価を下げるだけでなく、最悪、営業停止などの処分を受けることもあります。
監督機関に通報することは大きな効果を発揮します。それでも頑なに拒否され、取引履歴が手に入らない場合は、資料をもとに推測して計算する方法があります。
取引履歴が請求できなかった場合でも債務整理は可能
取引履歴が手に入らなかった場合でも、推定計算で債務整理が可能です。手元にある資料た記憶に基づいて、取引を推定し、専門家と引き直し計算を行います。
たとえば借入証書があれば、貸付金利、支払日、支払金額、返済期間、返済回数が記載されています。
こうした情報を集めていって引き直し計算することができます。材料は多ければ多いほどよいので、契約書や取引明細書などをできるだけ入手します。
取引履歴の開示を行わない業者でも、専門家には対抗する手があるので、安心できます。
取引履歴の開示請求は「債務の承認」に該当せず、時効は中断されません。
・取引履歴は電話か請求書で請求が可能
・取引履歴を請求したことを周囲に知られたくない場合、店頭窓口での受け取りを選択する
・業者に取引履歴請求を拒否された場合、すぐに各都道府県の貸金業協会に上申書を提出して、再度取引履歴の開示を強く主張するなど対策をとる
・取引履歴がない場合でも、専門家に依頼すれば債務整理できる
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