債務整理(任意整理) 一括返済 ブラックリスト

任意整理で借金を一括返済するメリットと信用情報への影響

任意整理での一括返済のメリット

任意整理ではまとまった金額を揃えることができる場合、分割返済ではなく、一括返済を選択することができます。

 

一括返済の場合、分割返済よりも優位に任意整理の交渉を進めることができます。一括払いの最大のメリットは分割払いよりも借金を多く減らせることです。

 

分割返済の場合は、将来利息や遅延損害金など減らせる借金は利息分がほとんどで元本の減額は難しいですが、一括払いを条件に入れると元本を減らすことで和解できる可能性があります。

 

すべては交渉次第ですが、元本が何割かカットできる可能性もあります。

 

借金総額が400万であれば、1割カットで360万です。さらにそこから可能な限り利息分も減らされるので、大幅な減額が可能です。

 

債務者(借り主)の利益は大変大きいので、まとまったお金を用意できる場合は一括返済を選ぶとよいでしょう。家族や親族などの協力からまとまったお金を調達できることがあります。

 

大変珍しいケースですが、一括払いを条件に入れることで元本5割カットで和解を成立することもあります。

 

貸金業者からすれば「分割払いは途中で返済がされなくなる可能性がある」ので、だったら一括でお金を回収した方が得策だと考えます。

 

ただし、「1割以上の元本減額はできない」と頑なに提案を拒否する業者もいるので、どの程度の割合で借金を減らせるかは業者次第です。

 

一括返済を行う場合の注意点

一括弁済は任意整理を行う上で大変有利に交渉を運べ、効果は高いのですが、独自で業者と交渉して一括返済を行う場合は注意が必要です。

 

専門家に頼まずに自分で交渉する場合、業者は引き直し計算をせずに、少し減額するという形で和解を勧めてくることがあります。

 

業者は元々利息制限法の上限を超えた高金利をとっていることが多く、毎月支払っている金額自体がおかしい場合があります。

 

専門家に依頼すると、その高金利の借金を正しい金額に引き直し、さらにそこから元本を減らすという作業を行ってくれます。

 

自分で任意整理をするとどうしても専門的な知識が不足するので、それらの作業が抜けやすいです。

 

結果的に本来減らせるべきだった借金がそのままになって、一括払いを条件に入れたのに借金はあまり減ってないということになってしまいます。

 

なかには、専門家に頼まずに家族の協力だけで完済したが、再び借金地獄に陥ってしまったというケースがあります。

 

業者にとっては「借金に関する法律を知らない、多くのお金を回収できる良質な顧客」となってしまうのです。

 

完済できることも知っているので、当然業者はまた再びお金を貸してきます。これでは借金問題はいつまで経っても解決しません。

 

専門家に依頼すると確かに費用がかかりますが、弁護士を味方につけることで業者はへたな動きが取れなくなります。

 

一括返済をする場合は、一度専門家に相談することをお勧めします。

 

 

 

任意整理での一括返済とブラックリスト

各個人信用情報機関に事故情報として登録されることをいわゆる「ブラックリスト入り」と言います。

 

ブラックリストという帳票・用紙は存在しませんが、業界では一般の名称として用いています。

 

ブラックリスト入りすると、一定期間、消費者金融からお金が借りられなかったり、クレジットカードが作れなかったり、住宅ローン・自動車ローンが組めなかったりします。

 

任意整理をすると5年間ブラックリスト入りしますが、任意整理で和解した借金を一括返済した場合はどうなのでしょうか。

 

結論から言うと、一括返済したからといって任意整理した事実は変わらず、ブラックリスト入りしてしまいます。

 

各個人信用情報機関には、最大5年間ブラック情報が記載されますので、その間は現金主義に徹する必要があります。

 

ただし任意整理といっていろいろなパターンがあります。大きく分類すると、引き直し計算をして過払い金を回収するのが目的の任意整理と、本当に月々の返済に窮して和解交渉をお願いする任意整理があります。

 

前者の場合は、元々利息制限法に反していたお金を返済して、その分を取り戻そうという任意整理ですから、信用面で問題になることはありません。

 

この場合、業者はいちいちブラックリストに登録してネガティブな情報を載せない場合があります。

 

任意整理をして半年〜1年しか経っていないのに、ローンやクレジットの審査をすんなり通ったという話がたまにありますが、これは前者のケースです。

 

一方、毎月の返済ができなくなって任意整理をし、利息制限法を適応して、さらに業者の譲歩を求めるものであれば、当然信用情報は無傷ではなくなります。

 

元本が減ったりと、本来の支払い契約から大きく外れるものですから、ブラックリストに登録される可能性は高くなります。

 

後者の方が本来の任意整理だとは思います。ただしブラックリスト入りしたかといって普段の生活に支障をきたすことはありません。

 

ブラックリストが知られるのは金融機関の間で照合がされる時だけですし(一般の方には知られない)お金の借り入れ以外で支障が出ることはありません。

 

むしろ、お金を借りられなくなることをプラスに考え、毎月の収入の中でやりくりし、現金で支払うということを習慣付けるよい機会だと思った方がよいかもしれません。

 

 

 

どこからお金を集めてくればよいか?

そもそも任意整理が必要なのですからお金に困っているはずです。たとえば200万円借金がありそれをすべて任意整理する場合、一括返済を条件に入れるととりあえず200万円程度手元にないといけません。

 

お金を集める方法ですが、やはり「家族にお願いする」という方法しかないと思います。消費者金融やカードの借金は利息が15%〜18%となっています。200万円の借金で利息18%の場合、1ヵ月で29589円利息が発生します。かなり高額です。それなら親に丸々200万円借りてきて、それで一括返済を条件にできるだけ安く完済させます。

 

完済させた後に毎月親に返済していくという形です。親から借りているのですから当然利息はかからない(もしくは少し多めに払う)です。親や兄弟がお金に余裕がある場合はそういった方法もあります。

 

あくまで「繰り上げ返済」ではなく「任意整理で一括返済を条件に返済額を安くする」ということです。ただしデメリットとしては前述した通りブラックリスト入りするのでその後5年ほどは新しく借金ができません。借金を作ってしまった理由を素直に話、今後生活態度を改めていきたいという気持ちを伝えれば、お金に余裕がある状態でしたらお金を貸してくれるかもしれません。

 

弁護士費用もありますから、初回相談でしっかりと専門家にシミュレーションしてもらうとよいです。専門家に相談するとある程度の見積もりがわかります。大幅減額が望めるようでしたら任意整理をすればよいですし、望めない場合はコツコツ返済していくか親に全額借りて、全額を繰り上げ一括返済して、あとは利息のかからない親からの借金を毎月返済していきます。

 

まとめ

・任意整理では、分割返済よりも一括返済の方が減額できる借金は大きくなる

 

・一括返済で任意整理を検討する場合、一度専門家に相談した方がよい

 

・任意整理で一括返済しても、任意整理をしたという事実は変わらず、ブラックリスト入りは避けられない

 

・任意整理のやり方によっては、ブラックリスト入りしない場合もある(ブラック入りするかどうかは貸金業者の判断次第でこちらは一切介入できない)

 

 

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