サラ金地獄から抜け出す

サラ金地獄から抜け出す

消費者金融からの借金というのは多くが無担保ローンとなっているため、気軽な審査で借りることができる一方、利息はとても高く設定されています。借入額が100万円以下の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%です。

 

サラ金地獄に陥っている方は元本も当然大きいのですが、この利息の問題で苦しんでいる方が多いです。例えば3社から多重債務しており、合計200万円ですべての利息は年18%の場合、年間36万円、1カ月あたり3万円の利息が発生します。返済額のうちの3万円が利息ですとなかなか返済が進みません。

 

これらの問題点を踏まえてサラ金地獄からどう抜け出せばよいのか解説していきます。

 

そもそもなぜサラ金地獄に陥ってしまったのか?

やはり原因をしっかり見つめないとサラ金地獄から抜け出すことができません。サラ金地獄に陥る方の多くがギャンブルや浪費をしています。または投資に手をだしており、大きく借金を増やすケースもあります。

 

ギャンブルには依存性があり、気軽な気持ちで1回手を出し、もしその時負けると、「同じ方法で負けを取り戻したい」という心理が働き、再度ギャンブルをしてしまいます。たとえばパチンコ店では勝てる割合と負ける割合を絶妙に設定しており、負け続けても飽きますし勝ち続けても飽きますしで、勝っては負けてを繰り返させる中で総合的に損をさせるシステムをパチンコ店は作り上げているのです。そういったシステムの中で踊らされるとお金はどんどん減っていきます。買い物依存症の方は愛情不足を買い物で埋める傾向にあります。

 

このような原因で消費を増やし、ついにサラ金に手を出してしまいます。そのうち「限度額=自分の預金残高」という錯覚をしてしまい、限度額いっぱいまで借金をしてしまいます。それが過ぎると、限度額を増やしてもらったり、他の消費者金融からも借入をして(多重債務)借金をどんどん増やしてしまいます。まだ借金総額が100万円程度でしたら利息は大きな問題とならないので地道な返済で立て直すことができます。

 

たとえば元本が200万円を超えてくると、利息は膨大になりますから、返済しても返済してもなかなか元本は減っていきません。いわゆる利息地獄という状態です。この状態に陥った場合、自力で返済するより、弁護士や司法書士などに依頼して債務整理をすることが好ましいです。債務整理をすると利息を停止させたり(利息は年0%になる)、元本分を8割〜10割カットも可能です。債務整理についてはあとで詳しく解説します。

 

サラ金を滞納していると差し押さえされる?

消費者金融の借金を滞納すると以下の流れと取り立てされることになります。
・1週間程度遅れると
毎日電話がかかってきます。最初は1日1回だったのが、だんだん増えていき、1日に2回、3回と複数回かかってきます。
携帯電話から出ない場合は自宅にかけてくるサラ金業者もいます。督促状などの手紙も届くようになります。

 

・1か月〜2か月遅れると
自宅訪問をされます。日中の自宅訪問なら法的に問題ないことになっています。在宅確認のスタッフが訪れ、でると担当者と電話で話すことになります。この時不在にしても問題ないので、払えない時は無視するようにします。
内容証明郵便で郵送を送ってきたり、訴訟を起こすといった内容の手紙が届きます。内容証明郵便とは郵便局にこのような内容の手紙を送りましたよ、と郵便局に証明してもらう書類となります。法的拘束力はないただの手紙ですが、このことを知らない方は内容証明郵便が家に届くと動揺します。動揺を誘うための手紙として用いられます。訴訟はそう簡単にされるものではなく、この段階では脅し半分の言葉となります。

 

・3カ月以上遅れると
滞納して3か月が経過すると信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が登録されます。3ヵ月以上滞納をすると場合によっては差し押さえをされる可能性があります。差し押さえの対象物は給料もしくは預金です。給料差し押さえですが、「職場の特定」「債務名義を取る」という2点を行わないと消費者金融は給与差し押さえができません。もし最初の申込時の職場と今の職場が違い、なおかつそれを業者に伝えていない場合は、貸金業者はあなたがいま働いている場所を知らないので、給与差し押さえされる可能性はとても低いです。

 

もし申し込み時と今の職場が同じで、なおかつ公務員や上場企業など安定した収入があると判断されるような場合は給与差し押さえされる可能性があります。給与差し押さえされる前に必ず債務名義を取る必要があり、簡易裁判所で裁判を行います。急にされるわけではなくその案内は事前に届きます。

 

このように差し押さえというのは非常にコストのかかるもので、そう簡単にされるものではありません。そもそも職場を特定されていないケースでは差し押さえされる可能性は低いです。職を転々としている場合は職場の特定が難しく、確実に債務の回収をできる見込みが低いため、なかなか差し押さえに踏み込めません。

 

サラ金地獄に陥っている方は支払い不能状態になっている方も多いです。もし家賃だったり公共料金だったり税金を滞納している場合、これらは優先的に払っていく必要があります。これらを滞納すると生活が成り立たないからです。

 

消費者金融からの借金というのは前述した通り、放置していても電話や自宅訪問など来ますが、それ以上のことはできません。もし職場を特定されているケースでは給与差し押さえの危険がありますから、必ず弁護士や司法書士に相談して借金整理をしてもらうようにします。弁護士や司法書士が間に入って代理人として活動することで差し押さえを防ぐことができます。

 

職場を特定されていないケースでは給与差し押さえの可能性は極めて低いので一時的に放置するということになります。預金についてはこまめに残高から引き出しておくようにします。最低限の生活費は一番大事ですので、そこは守るようにします。

 

 

 

どのようにしてサラ金地獄から抜け出せばよいか?

借金返済の基本は「入ってくるお金(給料など)を増やして、出ていくお金(支出)を減らす」ということです。すると「手元に残るお金」は増えますから、それは借金返済に充てることができます。こまめに繰り上げ返済をすることで早く完済することができます。

 

まずは以下の点をうやむやにせず、ハッキリとさせることです。

  1. 今の借金の状態
  2. 支出を把握する(毎月一体どこにお金を使っているのか)

@今の借金の状態
借金の状態ですが以下の点をそれぞれの貸金業者ごとに紙に書きだしてみるとよいです。

  • 借金残高
  • 年利
  • 毎月の返済額
  • 1か月分の利息
  • 返済日

たとえば具体例を出すと以下のようになります。

 

借金総額200万円で3社からの借入

A社 借金残高は100万円、年利は15%、毎月の返済額は23,000円、1か月分の利息は12328円、返済日は毎月5日

 

B社 借金残高は70万円、年利は18%、毎月の返済額は18,000円、1か月分の利息は10356円、返済日は毎月15日

 

C社 借金残高は30万円、年利は18%、毎月の返済額は10,000円、1か月分の利息は4438円、返済日は毎月15日


※1ヵ月分の利息の出し方は「借金残高(円)×年利(%)÷365日×30日=1か月(30日)に発生する利息額(円)」となります。

 

上記のように今の借金の状態を紙にまとめると「繰り上げ返済する場合どの貸金業者から優先的に払えばよいか」「毎月いくら返済に必要なのか」「返済日はいつか」などが明確になります。上記の例ですと、毎月の返済額の合計は51,000円です。最低でも毎月5万1千円用意しないと返済は進まないことがわかります。もしそれを用意できない状態なら後で説明する債務整理で借金整理をする必要があります。

 

返済日も明確になります。あとはもし毎月5万1千円用意できて、なおかつ毎月余力がある場合は繰り上げ返済をしていきます。借金というのは返済期限が長ければ長いほど発生する利息は大きくなります。ですから、できるだけ返済期限を短くするために余力がある時は繰り上げ返済することが好ましいです。繰り上げ返済した分はそのまま元本から減らされます。

 

繰り上げ返済は年利が高い貸金業者から順に返済していきます。たとえばA社は年15%でBとC社は年18%です。この場合、まずはBもしくはCから繰り上げ返済をします。BとCを完済したら次はAの繰り上げ返済をします。年利が高い貸金業者から順に繰り上げ返済していけば、発生する利息を抑えることができます。

 

A支出を把握する(毎月一体どこにお金を使っているのか)
家計簿の把握も大事です。細かい数値を出す必要はありませんが、たとえば「毎月〇千円」などざっくりと出すことが好ましいです。サラ金地獄に陥っている方の多くが「毎月大きな出費」があるはずです。それを把握してやめる必要があります。たとえば異性関係でお金を使っていたりギャンブルにお金を使っていたり、投資にお金を使っていたり、アプリゲームにお金を使っていたりなどです。

 

一体どこに毎月お金を使っているのか、預金通帳やクレジットカードの明細などを見ながら1ヵ月分を把握する必要があります。人間は自覚できてはじめて行動を変えていくことができます。余裕があれば家計簿などもみていきます。家計簿は以下の通りです。まずは大きくお金を使っている部分を洗い出して自覚するようにします。次に家計簿を出して小さな節約をするという流れです。極論すれば「毎月の大きな出費」さえ防げれば、借金はどんどん減っていくはずです。

 

 

 

 

1ヵ月の返済額の合計を用意できない時は債務整理をする

上記の通り借金の状態を紙に書きだせば「1ヵ月の返済額の合計」がわかります。これを基準にそれを用意できる状態か用意できない状態かを考えます。用意できる方は家計簿を改善しながら自力返済するという方向に進みます。

 

用意できない方は債務整理という方法になります。債務整理には3種類あります。任意整理(利息を全額カット)と個人再生(元本8割カット)と自己破産(元本10割カット)です。

 

任意整理は弁護士や司法書士が債権者と債務者の間に入ることで借金問題を解決する手続きです。サラ金にもいろんな会社がありますが、借金をしている会社一件一件と弁護士が交渉し、減額交渉をしていきます。

 

多くのケースで将来利息(和解成立後に発生する利息)はカットされる可能性が高いです。ようは任意整理をすると、対象に入れた借金の利息が発生しなくなるということです。利息は0%となるので、元本分を3年〜5年で分割返済していきます。3年計画の場合は36分割したものを毎月返済していきます。5年計画の場合は60分割したものを毎月返済していきます。たとえば上記の200万円3社の借金を例にだすと任意整理すると以下のようになります。
3年計画の場合、毎月6.1万円を返済していけば36ヵ月で完済
4年計画の場合、毎月4.5万円を返済していけば48ヵ月で完済
5年計画の場合、毎月3.6万円を返済していけば60か月で完済

 

サラ金は年利が非常に高くそこがネックとなりますが、任意整理をすることで利息は発生しなくなり、返済期間も調整できるので、とても大きなメリットがあると言えます。

 

また、任意整理を弁護士に依頼するとすぐに取り立ては止まるため、これまでの借金の返済は手続き中(3か月間〜7か月間程度)はしなくてもよくなります(貸金業21条1項9号)。この返済がストップしている間に払えていない家賃や携帯代や公共料金がある場合はそれを優先的に払って生活を立て直していきます。弁護士費用もこの期間に分割で払っていきます。借金が一時的に支払えなくなったという緊急の時にでも債務整理は有効です。

 

デメリットとしては信用情報機関に事故情報が5年間(任意整理前に3カ月以上の滞納をしていた人は8年間)事故情報が載ります。ブラックリスト登録されるのでその期間は新しい借金が作れなくなります。任意整理中は借金が一切できず、今ある減額した借金を返済計画に従って毎月返済していくという生活になります。返済計画通り毎月返済していけば元本はそのまま減っていくため、返済の目途が立ちやすいです。

 

大手のサラ金(「アコム」「プロミス」「レイク」「アイフル」)や中小のサラ金でも任意整理可能です。任意整理だけでは借金の返済が困難な時は、裁判所の力を借りて、強制的に借金を大幅カットします。個人再生では8割カット、自己破産は10割カットです。

 

ただし、個人再生と自己破産については、裁判所を通した手続きですので、手続きをすると官報と呼ばれる政府の情報誌に名前が載ります。官報とは毎日政府が発行している新聞のようなものです。官報は各都道府県に1か所販売店があり、そこにいくと購入できます。

 

官報を毎日読む人は稀ですし、それ以外は有料サービスに入らないと氏名の検索ができません。官報に名前が載ったからといって、そこから債務整理をした事実が知られることはないです。債務整理をすると支払えなかった分の借金は連帯保証人に請求がいきます。ただしサラ金の借金は無担保ローンです。連帯保証人はついていませんから、そういった心配もいりません。

 

サラ金地獄に陥っている方は弁護士に相談する費用などないと考えるかもしれませんが、弁護士費用は多くのケースで分割返済となります。借金の状態と経済状態(収入や支出)などすべて弁護士に伝え、それを元に、弁護士費用(分割払い)を含めた「無理のない返済計画」を立ててくれます。債務者は立ててくれた返済計画通りに毎月返済をしていくという形です。任意整理や個人再生では大体3年〜5年を目途に今ある借金を分割返済して完済します。弁護士事務所は仕事として債務整理に取り組んでいますから相談者をないがしろにすることは決してありません。弁護士費用で弁護士は生活が成り立っているのです。気軽に相談してみるとよいです。